犬が下痢になったとき、あなたは下痢止め薬を使う派?使わない派?

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ペットが下痢をしたとき、動物病院に行くと、下痢止めのお薬をもらって終わりということがよくあります。

確かに、もらったお薬を飲ませると、すぐに良くなることも多いものです。

そのため、何度も下痢を繰り返していると慣れてきて、病院に行かずに前にもらったお薬を安易に与えたりすることありませんか?

また、最近では、ペットのお薬も色々と市販されており、アマゾンで「犬 下痢止め」で検索すると簡単に購入できます。

このため、愛犬が下痢になったら、すぐにお薬に頼ってしまう方も多いのではないでしょうか?

 

でも、ちょっと待ってください。

下痢が起こる原因には色々なものがあり、安易に下痢止めを与えるとかえって長引かせる原因となる場合もあります。

下痢が起こる仕組みから考えてみる

下痢の症状を簡単にいうと、便の中に含まれる水分量が多くなることです。

つまり、本来は水分を吸収すべき小腸、大腸が十分に機能せず、食べ物から水分を十分に吸収できなくなることが原因です。

固すぎず、柔らかすぎない、ほどよいウンチの水分量は70%~80%程度と言われています。これ以上に水分量が多くなると軟便となり、さらに90%を超えると下痢になります。

では、なぜ腸内で水分が十分に吸収されないかというと、それには色々な原因があります。

  • 食べ過ぎが原因
    食べ物を食べ過ぎると、胃腸が活発になり、どんどん胃から小腸、大腸へと食べ物が運ばれます。このため、小腸、大腸では次々と入ってくる食べ物の水分、栄養分の吸収が間に合わなります。
    また、小腸での栄養吸収が間に合わなくなると、食べ物に栄養がたくさん残ったままの状態で大腸へ食べ物が送られます。このとき、栄養成分が多い食べ物は浸透圧が高くなり、大腸での水分吸収がうまくできなくなるのです。
  • 大腸炎が原因
    感染症などによって腸内で炎症が起こっていると、腸内の粘膜から血液成分などの浸出液(にじみ出る)が漏れ出てきます。この浸出液によって、便の水分量が増えます。また、炎症によって腸の吸収能力も落ちることから、腸内での水分量が多くなり、下痢になります。
  • 感染症、食中毒が原因
    細菌やウィルスによる刺激によって腸内の分泌量が増えたことにより、水分量が増えて下痢となります。これは、体が異物の侵入を検知し、早く体の外に排出しようとする防衛反応の一種です。一般的に、水下痢と呼ばれる大量の水分を含んた便になります。ただし、犬の場合、人に比べて強力な胃酸をもっており、少々腐ったものを食べてもお腹を壊すことはありません。
  • ストレスなどによる腸のぜん動運動(食べ物を次の器官に送る運動のこと)異常
    何らかの原因で、腸のぜん動運動がうまく制御できなくなることがあります。このとき、ちょっとしたことでぜん動運動が活発になり、食べ物を早く送り過ぎてしまうのです。そのため、水分の吸収が間に合わずに下痢にななります。過敏性の下痢とも言われるもので、慢性化することも多いです。

このようにひと口に下痢といっても、その原因には色々なものがあります。どれも食べ物から水分が十分に吸収されないために、下痢となっているのです。

これとは逆に、水分が吸収され過ぎてウンチが固くなると、便秘となるのです。

下痢止めのお薬はどんな作用があるのか

では、病院などで出される下痢止めのお薬には、どのような作用があるのか、見てみましょう。

下痢止めのお薬にも何種類かあるのですが、一般的に動物用として使われているものは、「タンニン酸ベルベリン」が主成分のものがほとんどです。

ウィキペディアによると、「タンニン酸ベルベリン」は以下のような作用があるそうです。

腸内で分解されてベルベリンとタンニン酸に分かれ、ベルベリンの殺菌・抗炎症作用とタンニン酸の収れん作用を示す。タンニン酸およびベルベリンは単独ではそれぞれ強い渋味、苦味があるが、タンニン酸ベルベリンにすることでこれらがほとんどなくなる。

引用:ウィキペディア

「タンニン酸ベルベリン」は、人用の下痢止め薬としても一般的に使われているもので、市販薬として有名な以下の製品にも入っています。

《参考》 ストッパ下痢止めEX

 

「タンニン酸ベルベリン」という成分は、腸内で「タンニン酸」と「ベルベリン」に分かれ、それぞれ違う働きをします。

  • 「タンニン酸」の働き
    腸の粘膜に付着して、炎症を抑えるとともに、腸のぜん動運動を緩やかにします。また、分泌液が腸内へ浸透することを妨げるため、腸内の水分を減らします。
  • 「ベルベリン」の働き
    殺菌作用があり、腸内での細菌増殖を抑える働きがあります。

どちらの成分も副作用としては、重大なものは報告されていませんが、便秘気味になることがあるそうです。

どんな時に下痢止めを使ってはいけないのか

先に説明したように、下痢止めのお薬は腸内の炎症を抑え、ぜん動運動を穏やかなにすることで、下痢の症状を暖和します。

確かに、一般的な下痢の場合、下痢止めのお薬はとても効果的で、下痢の症状をすぐに改善してくれます。

 

ただし、その下痢が感染症が原因の場合には、逆効果となります。

それは、体がその異物を排出しようとして、腸内の分泌物を増やしているのに、下痢止め薬によってそれを抑制してしまうからです。

このため、病原菌が体の中に長く留まってしまうことになり、逆に症状が悪化することもあります。

まとめ

このように、感染症の下痢の場合、ヘタに下痢止め薬は使わない方がよいのです。ただ、愛犬が下痢をした場合、その原因が感染症なのか、ちょっとした食べ過ぎなのか、分かる人はいないと思います。

うちの「もなか」もたまに下痢になることがありますが、単なる食べ過ぎなのか、ちょっとした感染症なのか、見分けは付かないです。

そのため、下痢の原因が分からない状況では、安易に下痢止めのお薬に頼らない方が良いです。

もし、お薬を使うなら、ビオフェルミンなどの整腸剤程度にしておいた方が無難です。

 

そもそも、下痢止めのお薬はその場しのぎの対症療法でしかありません。普段からすぐに下痢になるというような場合には、お薬に頼らず、下痢の原因を根本的に改善してあげることの方が大切です。

また、愛犬の腸内環境をできる限り整えてあげ、下痢になり難い体質に改善してあげましょう。

 

犬の下痢については、以下の記事でも詳しく書いているので、よかったら参考にしてください。

《参考記事》 犬が下痢になったときの対処法を徹底解説-ご飯の与え方は?

 

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