ペット保険の加入率がなぜ低いのか、考えてみました

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悩むここ最近、ペット保険業界に新規参入する企業が増えており、業界としてはかなり盛り上がっています。業界全体での保険契約数も右肩上がりであり、前年比二桁の増加です。

その分、競争は厳しくなっているのだと思いますが、ペット保険のトップ企業であるアニコムでは、保険契約の見直しにより、利益率がかなり向上して増収、増益につながっています。

ただ、ペット保険の加入率という点で見ると、ペット飼育数の5%程度しか保険に加入しておらず、諸外国に比べるとかなり低い数値です。

今回は、なぜ、日本でペット保険の加入率が増えないのか、少し考えてみたいと思います。

日本でのペット保険の加入率はどのぐらい?

グラフ富士経済のレポートによると、ここ最近の日本国内でのペット保険業界はかなり好調らしく、認知度向上や新規企業参入などで前年度比で二桁成長しているらしいです。

レポートでは、2015年のペット保険契約数は106.5万件でした。

また、ペットフード協会の調査によると、2015年の犬、猫の飼育数は全部で1,979万1千頭なので、単純に割り算すると、

日本でのペット保険の加入率は5.38%

となります。

《引用》 富士経済 国内ペット関連市場を調査

《引用》 ペットフード協会 平成27年(2015年)全国犬猫飼育実態調査 全国犬猫飼育実態調査 結果

 

この加入率をどう思いますか?

この数値は、犬と猫の両方の合計数なのですが、統計的に犬に比べて、猫のペット保険への加入率がかなり低く、全体の数値を押し下げています。

2009年とちょっと古いデータですが、以下のアンケートによると、ペット保険の加入率は犬が10.9%なのに対して、猫が3.4%と、猫の方が極端に低い数値です。

《引用》 ディムスドライブ 『ペット』に関するアンケート2009

 

最近では、ペットは家族と一緒という風潮が強いので、個人的には、もっとペット保険に加入しているものと思っていました。たった、5%程度しかペット保険に加入していないとは、ちょっと驚きです。

 

ペット保険は元もとイギリスで誕生したらしいのですが、ペット先進国であるイギリスでのペット保険加入率は20%以上もあります。そして、世界一ペット保険の加入率が高いと言われているスウェーデンでは、なんと50%以上と言われています。

これらヨーロッパに比べて、あまりにも日本のペット保険加入率が低い原因は何でしょうか。

経済的理由?ペット保険の認知度?楽観的な国民性?

ペット保険に関心がある人は実はかなり多い

興味ペット総研による、ペット保険に加入していない人に対する2014年アンケート調査があります。

《引用》 ペット総研 ペット保険について (サイトが削除されてます)

この調査によると、ペット保険に関心がある人は74.4%もいます。(とても感心がある:26.1%、関心がある:48.3%)

また、ペット保険の加入を検討している人が51.6%もいます。(具体的に検討中:16.5%、いつかは加入したい:35.1%)

 

ペット総研では、過去、2010年、2012年に同じアンケート調査を行っているのですが、ペット保険の加入を検討している人の割合が、

40.92%(2010年)=>41.6%(2012年)=>51.6%(2014年)

と、直近で急激に伸びていました。

このデータから、ペット保険の認知度の向上、平均寿命が伸びたことによる高額なペット医療への備えなど、飼い主側にもペット保険に対する考え方に変化が出てきているようです。

 

このアンケート調査からは、ペット保険にはとても感心があって、加入を検討しているにも関わらず、実際には加入していない人が大量にいるみたいです。

実際にこれらの人たちがペット保険に加入していれば、もっとペット保険の契約数が増えているはずです。検討はしているのに、なぜペット保険に入らないのでしょうか。

この調査から、今のペット保険にはみな何らかの不満があり、保険契約を躊躇しているが、もっと魅力的なペット保険があれば、みなさん喜んで加入するのでは、と推察されます。

 

ただ、こんなリサーチを見ると、異業種からペット保険へ新規参入してくる企業が後を絶たないのが良くわかります。実際、ペット保険の契約数も二桁増加しており、まだまだ伸びしろがあるので、企業にとってもビッグチャンスなのでしょう。

では、検討している人がなぜペット保険に加入しないのか

ペット保険に加入しない要因は、人それぞれ、色々とあるかと思います。

そんな中、ネットで調べてみて、多かった意見を集めてみました。

ペット保険の保険料がとても高い

おそらく、ペット保険の加入率が伸びない原因は、これが一番だと思います。

実際、私も費用対効果を考えて、若い時のペット保険はいらないなと、1年で止めてしまいました。

動物病院での医療費はすべて自由診療となり、100%自己負担です。そのため、保険料も高くなるのは当然です。頭では分かっていても、実際に支払うお金が大きくなると、躊躇してしまうのだと思います。

 

それを裏付けるデータとして、先ほどのペット総研のアンケートでも、「ペット保険に加入する上で一番気になる点は?」という問いに対して、

保険料(掛け金):57.4%

と、ありました。

やはり、みなさん、ペット保険の保険料が高いことをかなり気にしているようです。

ペットの医療費がものすごく高いことを知らない

お金日本では、健康保険がしっかりしているため、人間の医療費がそれほど高額になることはあまりありません。

その感覚があるためか、実際にペットが病院にかかったとき、その医療費の高さに驚く人も多いです。

特に最近では、ペット医療も高度医療化が進んでおり、医療の選択肢がかなり増えてきました。実際に愛犬が重い病気になったとき、高度医療を受けさせてあげると、もしかしたら助かるかもしれない場合、飼い主としてはとても迷うことでしょう。

ただ、人間の場合でもそうですが、高度医療を受けると、桁違いに医療費が高くなります。

実際、犬のがん治療などで高度医療を選択すると、合計で100万円を軽く超える場合も少なくありません。

また、ペットの医療費は高いという情報を知っていても、まさか愛犬がそんな病気にはならない、と勝手に思い込んでいるのかもしれません。

ペット保険の費用対効果を考えて入らない

天秤ペット保険の保険料と補償内容のバランスを考えた場合、保険料が高い割には、補償がイマイチなものも多く、バランスが悪いペット保険が多いのでは、という意見です。

その分、ペット保険会社が儲けていることになります。

「もなか」の場合ですが、幼いときに下痢で病院に行った際、処方してもらった療法食などはすべて補償対象外となり、折角のペット保険のメリットがあまり感じられなかったので、解約してしまいました。

 

先日も以下の記事で書いたのですが、ペット保険に入るべきか、その分貯金をすべきか、個人的には微妙な選択な気がしております。

《参考記事》 ペット保険は必要?-入るべきか、それとも貯金した方がよいのか

万一の場合に備えて、ペット保険に入っていた方がよいのは理解しているのですが、どうしても費用対効果を考えてしまうと、躊躇してしまいます。

 

今の各社のペット保険には、色々な支払い上限金額や免責事項がやたらと多く、折角ペット保険に入っていても、いざという時に実際にどれだけの保険金が出るのか、微妙な感じです。

また、ペット保険会社によっては、一度高額な保険金を請求すると、次年度以降の保険の更新を切られたり、その病気を補償対象外とするような会社もあります。

このあたりの信用の無さも、ペット保険不信の要因かと思います。

 

今のペット保険はすべて掛け捨ての損害保険のため、折角かけていても無駄になることも多いです。もっと、貯蓄性の高いペット保険があっても良いような気がします。

どうしても人間の家族を優先してしまうから

a295414e615be13a47bc7ff9b6712589_s実際、飼い主として、自分自身や人間の家族の生活がギリギリの場合、ペット保険まではねん出できない場合もあります。

特に最近の日本では、若い世代の所得がドンドン下がっており、問題視されていますが、そんな中、ペットを飼っている人の中には、結構ギリギリの生活をしている人も多いのかもしれません。

そんな貧乏人はペットを飼うな!という意見もあり、少し前にネット上で盛り上がっていました。

《参考記事》 貧乏人はペットを飼ってはいけないのか?そんなことはないです

 

ペットと人間の家族を比べた場合、どうしても人間の家族を優先してしまうのは、仕方がないことだと思います。

いくら愛犬が家族同然だといっても、自分の子供と比べてしまうと、家族を優先してしまうのでしょう。

実際には、人間の方が社会保障も整っており、先進医療を受けなければ、それほど高額な治療費は必要ありません。そのため、人間の子供の医療保険の方が、ペットよりかなり安いのです。

万が一を考えた場合、どちらかというと、ペット保険に入っている方が良いです。

まとめ

ペット保険はかなり気になっており、加入について検討しているが、実際には加入まで至っていない人が多いようです。

実際、日本でのペット保険の加入率は5%程度とかなり低いです。

ただ、何かのきっかけがあれば、加入する人もたくさんいるようで、過去に高額な医療費を支払った経験があったり、身近な人がそんな経験をした人は、次回ペットを飼ったとき、ペット保険に加入する傾向が強いです。

一度、痛い目に会うと、少しぐらい保険料が高くても、万が一に備えた方がよいと考えるからです。

 

そんな人が多いということは、ペット保険でカバーすべきは、高額な医療費だけで良い気がしています。普段のちょっとした通院など、たかがしれています。

そんな細かな医療費は対象とせず、高額医療だけに特化したペット保険で、かつ、激安なものがあれば、ニーズにぴったりなのではないでしょうか。

ただ、なかなか、そんなペット保険がないのが残念ですが、近いところでは、一回あたりの上限金額設定が緩い、ガーデン、ペッツベスト、ペッツ&ファミリーなどのペット保険も見直しています。

 

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