殺処分ゼロに向けて、犬を飼うときに利用したい里親制度について

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ペット最近はペットの殺処分ゼロに向けての取り組みとして、国会議員が超党派で会を作ったり、環境省がプロジェクトを立ち上げたりと、色々なところで話題になっていますが、その一歩としてペットの里親というものをご存じでしょうか。

ペットの里親とは文字通り、飼い主に捨てられたペットや事情があって飼えなくなったペットたちを引き取って養子として育てることです。

都道府県などの動物愛護センターでは犬、猫の譲渡会が定期的に開催されていたり、ネット上でも里親をマッチングするサイトがいくつもあったりします。

もし、あなたがペットを飼おうとしているなら、ペットショップに行く前に一度検討してみてください。もしかしたら、それで小さな命が一つ救えるかもしれません。

動物愛護の歴史

日本では動物愛護センターとは名ばかりで捨てられたり、保護されたペットたちはそのまま大量に殺処分されてきました。殺生を禁止している仏教の国とは思えない行いであり、昔から動物愛護の視点からかなり問題視はされていました。

動物愛護という考え方は近代のイギリスで発達しました。それ以前の時代では動物は人間に従属する奴隷のような存在であり、動物の虐待なども頻繁に行われていました。1800年頃にイギリスで初めて虐待禁止法などの法律が整備されだし、1900年代にはアメリカにもたくさんの動物保護団体が発足、動物を愛護するという考えが世界に広まっていきました。

現在ではイギリス、ドイツがもっとも動物愛護が進んでいる国と言われています。ペットの殺処分大国であったアメリカでも1990年頃からノーキル(殺さない)という取り組みをはじめており、全国にノーキルシェルターという保護センターを設けてはいます。ただ、アメリカでのペットの殺処分の数は日本よりはるかに多く、年間300万頭ものペットが未だに殺処分されています。

日本でも1900年頃から徐々に法整備がされだし、最近になってやっと動物愛護法が制定され、徐々にではありますが、動物愛護の考え方が定着しつつあり、殺処分される動物の数もかなり減ってきています。ただ、今でも年間12万頭以上の犬、猫が殺処分されてはいます。
犬の不法投棄に見るペット産業の闇>でも県ごとの殺処分率を比較していますので、参考にしてください。

日本ではまだまだ都道府県によって取組に温度差がかなりあり、熊本市のように殺処分ゼロを目指して色々と活動しているところもあれば、保健所に預けられたペットを安易に殺処分してしまう県があるのが実情です。

動物愛護センターでの譲渡会

現在では日本各地の動物愛護センターで定期的に犬、猫の譲渡会が行われています。

譲渡会等のお知らせ に譲渡会の情報がまとめられているので、お近くの動物愛護センターホームページで詳細を確認してみてください。

動物愛護センターでは、無責任な飼い主にはペットを譲渡しないようにペットの譲渡条件として、譲渡前の講習を必須にしたり、ペットの不妊手術を必須にしたりと一定の基準を設けているところがほとんどです。

参考として地元の奈良県の譲渡条件を調べてみました。

    奈良県動物愛護センターホームページからの引用:
  • 県内在住の20歳以上~概ね65歳未満であること。
  • 飼養する本人であり、また、家族全員の同意を得ていること。
  • 成犬・成ねこは早期に、子犬・子ねこは生後6ヶ月までをめどに不妊・去勢手術を施すこと。
  • 現在、他に動物を飼養しておらず、将来も適切に管理できない動物は飼養しないこと。
  • 名札・マイクロチップ等により、所有者明示をすること。
  • 譲渡講習会・自宅訪問調査・譲渡後の調査の実施を受けてもらうこと。
  • 生態・習性及び生理を理解し、愛情と責任を持って適正に終生飼養できること。
  • 動物の飼養に関する法令を遵守できること(登録・鑑札・狂犬病予防注射等)
  • 動物だけを残して日常的に1日4時間以上留守にしないこと。

これ以外にも細々とした条件はあるのですが、上記の中で特に問題だと感じたのは、他の動物をかっていないこと、1日4時間以上は留守にしないこと、です。今時、核家族が当たり前の時代にあって、この条件では譲渡対象となる家庭がかなり少なくなると思います。

奈良県は他県に比べても条件がかなり厳しい方で、そのためか実際に譲渡されるペット数も少なく、かなりの割合で保護されたペットたちが殺処分されています。ただ、奈良県では条件の緩和も行っているとのことで、ホームページにはセンターへお問い合わせくださいとありました。

譲渡条件を厳しくすると、里親のなり手が無くなってしまうのですが、かと言って条件を緩くすると無責任な里親が多くなるため、難しいところだと思います。個人的にはもう少し緩くしないと里親のなり手が集まらないように思えます。

ホームページでの里親マッチング

多いところでは常時数万匹のペットの里親募集を行っており、一匹ごとに写真や詳細情報が載っているので、自分の好みのペットを見つけやすいです。

また、動物愛護センターのように住んでいる地域限定という制限がなく、動物愛護センターと比べて譲渡条件は緩いものが多いです。基本的には個人対個人のやり取りとなるので、譲渡に際して誓約書にサインする形式のものが多いです。誓約書には飼育放棄しないこと、愛情を持って飼育すること、病気予防などのワクチン接種など医療ケアをすること、などが項目として挙げられています。

この手のホームページを利用する際に気を付けたい点として、ホームページの主催者は単に個人間を仲介してくれるだけであり、最終的には個人間での取引となります。このことからトラブルや犯罪に巻き込まれるケースもあり、少し注意が必要です。ほとんどの里親サイトでは個人間での金銭のやり取りを禁止しているところが多いのですが、お金を請求されたなどの事例もあるようです。

ペットのおうち

ペットのおうち
日本全国規模のサイトであり、犬の場合で常時1万数千匹は登録されています。里親サイトとしてはNo.1の規模のサイトだと思います。登録されているペットの数が多いので、お気に入りのワンちゃんを比較的近所で見つけることが出来るかもしれません。

犬の他にも猫、ハムスター、リス、うさぎ、鳥などの小動物から爬虫類と変わったペットまで登録されています。掲載されている登録内容もわかりやすく、犬種別にも検索できるなどお勧めのサイトです。

その他

愛護センターや、ホームページでの里親募集の他にも地域限定の新聞や近所のスーパー、獣医さん、ペットショップなどの掲示板などでも募集していることがあります。

地域に密着した形で募集していることが多いので、見かけたら積極的に聞いてみるのもよいかと思います。

まとめ

殺処分ゼロに向けての取り組みは最近色々と行われていますが、この状況を作り出している一番の原因は、安易にペットを捨てる無責任な人たちです。さらに、そんな人達にペットを売りまくっているペットショップの罪は大きいです。

今の日本のペットショップでは、ビジネスとしてペットを売ることだけを考えており、購入に際してペットの飼育環境などは全く考慮することはありません。ペットショップからすれば、ビジネスとして商売している以上、販売することが第一目的になるのは仕方がないことです。

このあたりについては、つい先日発足した国会議員による超党派の動物愛護議連に頑張って、もっと法規制をして頂きたいです。

と、そんな気の長いことを言っていても何も変わらないので、まずは一人ひとりが自分にできることを考えてみることが大事です。私ももし、次に犬を飼うことがあれば、ペットショップは絶体利用せず、里親制度を利用したいと考えています。

 

もし、あなたが今、ペットを飼いたいと考えているなら、ペットショップに行く前にちょっとだけ考えてみてもらえませんか。