これからの季節、冬になってどんどん寒くなってくると、風邪を引いたときや体を温めるためなど、生姜(しょうが)を食べる機会が多くなります。
生姜には血行を良くし、体を温める効能があることが昔から知られており、生姜の入った料理を食べたり、飲み物を飲むと体の中からぽかぽかと温かくなります。昔から日本では薬味や料理の脇役として使われることも多い食材です。
日本では、かなり身近な食材で、人間にとっては色々な効能のある生姜ですが、犬が生姜を食べても大丈夫なのでしょうか。
ちょっとネットで調べてみると、生姜を犬に与えてはダメ!との書き込みも多く見られます。
ですが、結論から言うと、少量であれば犬に生姜を与えても特に問題はありません。
そもそも生姜はネギ類ではありません
犬関係のサイトを見ていると、ネギ類と一緒くたにして、生姜を犬に与えてはいけないと記載されていることがよくあります。
ただ、生姜について調べてみると、ネギ類とはまったく違う植物であることがわかります。
生姜は、ショウガ目、ショウガ科、ショウガ属であり、そもそもネギ類ではありません。
ちなみにネギはクサスギカズラ目、ヒガンバナ科、ネギ亜科、ネギ属であり、ネギの仲間には、ネギ、タマネギ、ニンニク、リーキ、アサツキ、ワケギ、ラッキョウ、ニラなどがあります。この他、野草のノビルもネギ類です。
ショウガは多年草で、古くから中国などで生薬として栽培されていました。英語では「ジンジャー」と呼ばれ、ジンジャーエールなどがかなり有名です。欧米では乾燥させたものを使用するのが一般的ですが、日本では、その強い殺菌作用から寿司や刺身などの生ものに添えることも多いです。食中毒予防のためだけでなく、魚の生臭さを消す効果もあります。
原産地は熱帯アジア、インドと言われており、日本では、関東より西で広く栽培され、旬は6月から8月ですが、貯蔵することができるため、一年中流通しています。
犬にネギ類がダメな理由
ネットで調べてみると、犬にネギがダメな理由として、ネギ類には、アリルプロピルジスルフィド、ニ硫化アリル、有機チオ硫酸化合物などが含まれており、これらの物質が血液中の赤血球を壊すためらしいです。
具体的には、これらの物質によって赤血球の中のヘモグロビンが酸化され、赤血球の内部にハインツ小体という物質が作られることが直接の原因です。このハインツ小体が作られると、赤血球が血液中で溶けだしたり、脾臓などの臓器で破壊されるために、溶血性貧血と呼ばれる症状を引き起こすみたいです。
ちなみにニ硫化アリルは、玉ねぎを炒めたときに出来るあめ色玉ねぎの味や臭いの元だそうです。
そもそも、ネギ類にしても犬にとって、毒性はそれほど強くはありません。また個体によってもかなり差が激しいらしいです。そのため、少量のネギを食べたからといって、必ずしも中毒にはなりません。実際、ネギ類を食べて中毒になって死亡した、という事故例はほとんどありません。
犬に生姜がダメ!のなぞ
犬がネギ類を食べると中毒を引き起こすことは確実みたいですが、では、なぜ生姜まで犬に与えてはいけない、と言われるのでしょうか。
これがかなり謎です。
問題物質である、アリルプロピルジスルフィドや二硫化アリルは、ネギ類の辛味成分です。
生姜の辛味成分と言えば、ジンゲロールとショウガオールで、香りの成分はシオネールで違う物質です。
生姜にも有機チオ硫酸化合物が含まれているのか、と思ってかなり調べてみましたが、わかりませんでした。(たぶん、含まれていない?)
市販されているドッグフードにも消化管の健康維持のためとして、ショウガが入っているぐらいなので、少量ならまず問題にはならないです。
この他、ネットでも生姜は少量なら犬に与えても大丈夫という書き込みが多数ありました。 実際に与えている人もたくさんいるみたいです。
生姜の効能について
生姜には主に「ショウガオール」と「ジンゲロール」という2つの成分が含まれており、人間にとって色々と良い効能があることは有名です。
それはワンちゃんにとっても同じであり、ごはんに少量の生姜を混ぜることでよい効果が期待できます。以下に生姜の効能についてまとめています。
- ショウガオールによるポカポカ効果
胃や腸を直接刺激して、全身の血流を高めることで、冷え性を改善します。特にショウガオールは生の生姜より、乾燥させたものや加熱させてものに多く含まれます。このため、古くから乾燥生姜は漢方薬としても広く使われています。家でも生姜をスライスにして、天日干しで1日程度乾燥させることでその効果がかなり違ってきます。ワンちゃんに与える場合、おじやなど、スープの具として乾燥生姜を摩り下ろしたものを少量加えてあげると、血行がよくなり寒い時などにはぽかぽか感が実感できます。- ジンゲロールによる殺菌効果
生のショウガに多く含まれるジンゲロールは強い殺菌力を持っています。刺身の薬味として生姜を使えば、生臭さを消すだけでなく、殺菌効果による食中毒の予防も期待できます。風邪の引き始めなど、生姜紅茶が良いとされるのは、この殺菌作用のためです。- 香り成分であるシネオールによるリラックス効果
生姜には、200種類以上もの香り成分が含まれており、爽やかな香りは食欲増進、リラックス効果があります。- タンパク質を分解するジンベイン
強力な消化酵素で、お肉を柔らかくする効果があり、タンパク質の消化吸収を助け、胃腸を守る手助けをします。- その他の効能
その他にも生姜には、疲労回復、解毒作用、解熱作用、消炎作用もあります。また、生姜には辛み成分、香り成分ともに強力な抗酸化作用があるため、活性酸素を除去して老化を防ぎ、がん予防も期待できます。
まとめ
犬にとっても生姜は少量であれば、とてもよい効果がある食べ物です。
それが、なぜだか分からない理由で生姜は犬が食べてはいけないものとして、分類されていることが多く、残念なことです。
昔から、乾燥生姜は漢方薬としても使われており、少量をワンちゃんのご飯に混ぜてあげることで、血行改善、冷え性改善など、良い効果が期待です。
これからの寒い季節、ワンちゃんに手作り食をする場合には、ちょっと乾燥生姜を加えてみてはどうでしょうか。