「もなか」の主食は手作りの「おじや」なのですが、それに鶏レバーを細かく混ぜて、与えています。
《参考記事》 愛犬のための「鶏肉と野菜たっぷりおじや」-栄養たっぷりで簡単調理
いつもの鶏むね肉だけでも十分においしそうに食べるのですが、鶏レバーを入れてやると、食いつきがぜんぜん違います。
実は、レバーには、野菜などに比べて遥かにビタミン類、ミネラル類が豊富に含まれています。元々、野生だった頃の犬たちは、狩りで仕留めた獲物の内臓(レバー)を食べてその豊富な栄養素を補給していました。
そういう意味では、雑食となった今の犬たちにとっても、野菜よりレバーの方が栄養補給元として、自然な食べ物だと思います。
レバーには、ビタミンAを始め、ビタミンB群の他、鉄、亜鉛、銅などのミネラルが大量に含まれており、素晴らしい食材です。
そんな、すばらしいレバーについて、犬が食べる際の注意点がないか、まとめてみました。
鶏レバーは安いが、ものすごく栄養が豊富
少し前までは、むね肉も安いお肉のイメージがあったのですが、最近はかなり高くなってきました。
少し古いですが、こんな記事もありました。
《参考記事》 国産鶏ムネ肉 直近10年で最高値 節約食材、加工品で引き
その点、鶏レバーはまだまだ安いです。38円/100g程度で売っており、お肉の中では、一番安い部類に入るかと思います。
こんなに安い、鶏レバーですが含まれている栄養素はかなり豊富です。
ビタミンAのケタ違いな含有量!!
レバーには他の食品に比べて段違いにビタミンAが含まれています。その含有量は何と14,000μg/100g中にもなります。一般的にビタミンAが豊富だといっわれている野菜である、にんじんで720μg、ほうれん草で350μgなので、2ケタも違います。
ビタミンAは目の健康のためや、皮膚の粘膜を健全に保つことで感染症から体を守るために必要な栄養素です。また、タンパク質の合成や骨の成長にも大きく関わるため、とくに成長期の子犬にとっては欠かせないビタミンです。
その他、ビタミンAはその抗酸化作用によって、体の免疫機能を高め、老化防止、がん予防に効果もあります。
犬の場合、ビタミンAの過剰摂取はまったく気にする必要はない
ビタミンAは、肝臓に蓄積されて必要に応じて使われることから、肝臓にビタミンAをため込んだ状態であれば、少々の期間ビタミンAを補給しなくても支障はありません。
逆に、肝臓にビタミンAが満タンになると、過剰に摂取した分が体に悪影響を及ぼすことがあります。人間の場合は特にビタミンAの過剰摂取による弊害が問題視されることが多いのですが、犬の場合はほとんど気にする必要はないです。
なぜかというと、犬の場合、過剰摂取の上限値に対する寛容性が人間より遥かに高く、少しぐらいの鶏レバーを毎日食べたからといって、過剰摂取になることはまずありません。
ビタミンAの摂取量の上限値としては色々なデータがあるのですが、250,000から300,000IU/kgとされていることが多いです。IU(国際単位)というのは、国際的に決められたもので、重さを量りにくいビタミンのための単位です。主に脂溶性のビタミンに使われます。ビタミンAの場合、1IU=0.3μgの換算になります。
鶏レバーで換算すると、100gあたり、14,000/0.3=46,667IUになります。
上限値の250,000IUを摂取しようとすれば、250,000×0.3=75,000μgなので、75,000/14=536g/kg
「もなか」は10kgなので、一日に5kgのレバーを与え続ければ、過剰摂取となるという計算です。まず、ありえないですね。。。。
よって、毎日、鶏レバーを食べ続けても何も問題ないということです。ちなみに「もなか」の場合、鶏レバーをあげるときは、塊り1個ずつ、40g程度を与えているので、約18,000IUぐらいです。
犬の場合、肉の赤身ばかりを与えることで、どちらかというと、ビタミンA欠乏を心配する方がよいです。
ビタミンB群もダントツに豊富!!
レバーにはビタミンB群も抜群に含まれています。
ビタミンB群とは、以下の8種類のビタミンの総称なのですが、レバーにはすべて豊富に含まれています。
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ナイアシン(ビタミンB3)
- パントテン酸(ビタミンB5)
- ビタミンB6
- ビオチン(ビタミンB7)
- 葉酸(ビタミンB9)
- ビタミンB12
ビタミンB群は、お互いの相乗効果によって、脳や神経、皮膚などを健康に保つ働きがあります。また、体の中で必要なエネルギーをつくり出すための代謝を補助する働きもあるため、動物の体にとって必要不可欠な栄養素です。
ただ、体の中には貯めておくことができないため、毎日の食事から摂取する必要があります。
鉄分の含有量はトップクラス!!
レバーと言えば、なんといっても鉄分です。その含有量は全食品中でトップクラスです。
特に豚レバーには鉄分が多いのですが、鶏レバーも、豚レバーに次いで肉類では第2位の含有量です。
また、肉類に含まれる鉄分は「ヘム鉄」と呼ばれ、植物性食品や卵・乳製品に含まれる「非ヘム鉄」に比べると体内への吸収率が5倍以上高いのです。
普段、ドッグフードで肉食中心のワンちゃんの場合、鉄分不足になることはあまりないですが、「免疫介在性溶血性貧血」という病気が原因で貧血になることがあります。犬の貧血では、これが最も多い病気です。
「免疫介在性溶血性貧血」とは、
体の免疫システムの異常により、自分自身の赤血球を敵と勘違いして攻撃、破壊してしまう病気です。
赤血球がどんどん壊されていくために、貧血状態となります。一般的にはウイルスや細菌などの感染や、ワクチン接種の弊害などと言われていますが、詳細は不明な点が多い病気です。
貧血気味になると、全身への酸素の提供が十分できなくなるため、全身が酸欠状態となり、疲れやすくなります。
また、鉄分はコラーゲンの合成にも欠かせない成分で、これが不足することで皮膚のはり、被毛の艶、爪がもろくなるなど、色々な弊害が出てきます。
豊富な亜鉛でぷにゅぷにゅ肉球に!!
レバーには亜鉛も多く含まれています。
亜鉛は色々な酵素の成分になる栄養素で、皮膚の新陳代謝、味覚、生殖機能など、色々な機能を正常に保つ効果があります。特に犬の場合に亜鉛が不足すると、肉球がカサカサになったり、被毛の毛色が抜けてくるなどの影響が出てきます。
愛犬の肉球がガザガザしている、最近、毛づやが悪い、毛色が薄くなってきたなど、心当たりがある場合は、亜鉛が不足している可能性があります。
特に換毛期には、毛の生え代わりのために亜鉛不足となりがちなため、レバーはオススメです。
良質なタンパク源はダイエットにも最適!!
レバーは肉類なので、当然タンパク質も豊富に含まれています。
レバーの特徴は、何と言っても他の部位に比べて、低脂肪、低カロリーな点です。
このため、ダイエット中のワンちゃんにとっても最適な食材です。
まとめ
レバー(肝臓)は、動物の体にとって毒となる物質を解毒するための器官です。
そのため、食材としてはできるだけ良質なもの、できれば自然飼育なものを選び、鮮度にもこだわりたいです。
ただ、鮮度にこだわって、毎日与えるのは大変という場合には、一度にたくさん作って冷凍保存しておくと、手間が減ってとても簡単です。
我が家では、スーパーで鶏レバーとハツのパックを買ってくると、適当に下ごしらえ(適当な大きさに切って、ボウルでジャブジャブ血抜き)したものを、軽く火が通るまで水で煮るだけです。
人間が食べる場合には、きちんと下ごしらえしないと、臭みが残ってしまいますが、「もなか」の場合には、血抜きしなくても特に問題ないみたいです。逆にその方が良いぐらいです。
レバーには、思っていた以上にたくさんの栄養が含まれており、まさに栄養満点な食材です。特にワンちゃんはレバーが大好きな子も多いので、ドッグフードの食べが悪い場合など、ちょっとレバーを混ぜてあげてみてはどうでしょうか。