ネットで犬がたべてはいけないものを検索していると、「レーズン」や「ぶどう」は絶対に与えてはダメ!とよく書いてあります。
なぜなんだろう?と記事をよく読んでみると、犬が「レーズン」や「ぶどう」を食べると中毒症になり、急性腎不全を発症、最悪の場合には死亡するケースもあるらしいのです。
ただ、どのサイトでもその直接の原因についてははっきりしておらず、現代医学をもってしても未だに不明みたいです。ネットで調べてみたのですが、どこを見ても単にダメとしか書かれていませんでした。
しかも、どこを探してもきちんとした実証実験した論文もなく、過去の発症例しか見つけれませんでした。ただ、犬に与えると危険な量まで、まことしやかに書かれています。いったい、誰が、どうやって、割り出した分量なのか、とても不思議です???
かなり怪しいです。
本当のところはどうなのかと、少し詳しく調査してみました。
結果から先に言ってしまうと、犬にぶどうを与えても、通常であれば特に問題は無さそうです。
ただし、症例報告にもあるように、一部の犬たちではぶどうを食べて中毒症になったケースがあります。その場合でも、はっきりとした原因は未だに分かっていないのです。(誰もきちんと調査できていないようです)
その一方で、昔々から、ぶどうをいっぱい食べても、平気で暮らしているワンちゃんがいっぱいいることもわかりました。
ぶどう中毒について獣医さんの報告事例
ネットで調べていると、犬とぶどうに関して色々と情報があるのですが、ソース元が不明なことが多いです。おそらく、最初に誰かが書いた記事を、そのままパクッたものが多いようです。
そんな中で、少しは信頼できそうな「日本小動物獣医学会誌に掲載の症例」を見つけました。獣医さんによる、犬のぶどう中毒に関する症例報告です。
《参考URL》ブドウ摂取後に急性腎不全を発症して死亡した犬の1 例
3歳,雄,体重2.5kg のマルチーズが,種なしブドウ(デラウェア)を皮ごと約70g食べ、4日後に腎不全で死亡したそうです。この報告の中でも、腎不全となった原因は不明とされており、以下の要因が疑われているとのことです。
犬のぶどう中毒の原因?
- ぶどうに付着したカビ
- 残留農薬
- ビタミンD類似物質の付着
- 重金属
- ぶどうに含まる未知の成分
犬がぶどう中毒になると、どんな症状が出るのか
犬のぶどう中毒と言われている症例では、以下の症状があるそうです。
- 食べてから数時間後に嘔吐や下痢の症状が出始める。
- 水をよく飲む。
- 犬の元気がなくなり、ぐったりとなる。
その内に、しだいに尿が出なくなり、急性腎不全によって最悪の場合、死亡することもあるようです。
腎不全になってからでは手遅れになるので、もし、ワンちゃんがぶどうを食べて吐いたり、ぐったりしたら迷わず病院に行きましょう。
結局、犬はぶどうで本当に中毒になるのか
先の報告によると、2001年に初めてアメリカで犬のぶどう中毒の症例が紹介されたことから注目された、とあります。
正直なところ、最近になってなぜ急に犬のぶどう中毒が注目を集めるようになったのか、かなり不思議です。
ぶどうと言えば、紀元前以前から人間によって栽培されている果物です。当然、昔からぶどう園でも犬は飼われていたはずです。犬にとってぶどうがそんなに危険な食べ物なら、その危険性はもっと昔から知られていても不思議ではないです。
実際、海外ではワインドッグという、ワイナリーでぶどうの収穫時期を知らせてくれる犬たちがおり、世界中のワイナリーで活躍しているそうです。
《参考URL》 ワイン犬(Wine Dog)のお仕事
実際にワイナリーではよく犬が飼われており、その犬たちは普段からぶどうをよく食べているそうです。(ぶどうを食べることが仕事です。)
その他にも、日本でもブドウ農家の方が普通に愛犬にぶどうを与えている話が掲載されていました。
これらの事実からしても、すべての犬がぶどう中毒にならないことは確実です。
先の獣医師会の症例で気になったのが、以下の2点です。
- 犬がぶどうを食べた際、皮ごと食べた
通常、果物の皮には農薬がいっぱい付着している可能性があり、日本人はあまり食べません。(ただ、ぶどうの場合、実に袋をかぶせるので、農薬は付かないという農家さんの話もありました) - 大量に食べた
小型犬が70gもぶどうを食べたらしいです。70gというと、中くらいの大きさのぶどうの房を半分ぐらい食べたことになります。マルチーズが2.5kgなので、50kgの人間に換算すると10房もぶどうを食べたことになります。いくらなんでも食べ過ぎだと思います。
以上の2点から、ぶどう中毒の原因は農薬の可能性が高いのでは、と考えています。しかも、大量に与え過ぎなのも原因の一因だと思われます。
もし、そうなら、大昔には犬のぶどう中毒が無かった理由も、日本では海外より症例が少ないのも、なんとなく納得できます。
微量でもぶどうの皮や実に残留農薬が残っていたなら、体の小さい犬の場合、中毒になるかもしれません。レーズンの場合には、ぶどうよりも濃縮されているため、残留農薬の割合はもっと高くなるはずです。
残留農薬について調べると、日本では全く問題ないという方から、怖くて果物を皮ごとなんて食べれないという方まで、色々な意見がありました。
どちらの意見が正しいのか、わからないのですが、市販されているぶどうを果物用の洗剤で洗うと油が浮いてくるという話もあり、確かに怖いです。
実際、微量の農薬が検出されることは普通のことで、基準値以上の残留農薬が検出されている事例(法律違反)もありました。
《参考URL》 農産物中の残留農薬の検査結果
この違反は氷山の一角だと思うので、すべての農産物がチェックされていないだけで、実際にはもっと残留農薬の問題はあるのだとと思います。
まとめ
犬のぶどう中毒がなぜ起こるのか、本当にぶどうが原因なのか、はっきりしたことはまだ解明されていません。獣医師会など、誰かがこの問題を学術的に解明しようとしているのかさえ、不明です。
今回、調べた範囲の中ですが、ぶどうの中に未知な成分が含まれており、それが人間には無毒で、犬にだけ有害だというのも、あまり考え難いです。
ただ、症例は少ないものの、犬がぶどうを食べて死亡する事故は、実際に起こっています。特にアメリカやイギリスでは多く、逆に日本ではほとんど報告事例はないようです。
また、その一方、上でご紹介したワインドッグの例にもあるのように、昔からぶどうを食べて平気な犬たちも多くいます。
他の果物でもそうですが、ワンちゃんによっては合う、合わないは必ずあります。初めて食べる果物の場合、少量食べただけでも下痢をしてしまう子もいます。それは、ぶどうだけが特別というわけではないと思います。
個人的に、ぶどう中毒の原因として、一番怪しいのは残留農薬ではないかと考えています。
たまたま基準値以上の農薬が付いたぶどうを、皮ごと大量に食べたワンちゃんが運悪く中毒になっただけでは?と疑っています。
そのため、実は犬がぶどうを食べても、中毒にはならないのではと思っています。実際、「もなか」に、こそっと一粒与えてみたことはありますが、特に何も問題はありませんでした。
ただ、現役の獣医さんまでが、犬にぶどうはダメ!(原因も理由も良くわからないのですが)と言われると、あえて危険を冒してまで「もなか」にぶどうを与えない方がよいかと、無茶はしないことにしています。。。。。