犬の異物誤飲にはご注意、覚えておくと便利な応急処置について

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ストップこの前、「もなか」がこそっとゴミ箱をあさっていたようで、家族が捨てたシップ薬がズタズタになって転がっていました。

びっくりして、びりびりのシップを復元してみたのですが、どう見ても少しだけ足りません。「もなか」が食べてしまったのかと、すごく心配しました。幸いなことにその後も何事もなく、元気にしています。

子犬の頃からゴミ箱をあさってはティッシュをびりびりにしたり、子どもたちの鉛筆を盗んではボロボロにすることがあったので、気を付けてはいたのですが、ちょっとした油断が大変なことになるところでした。

最近は「もなか」もかしこくなったと思っていたのですが。。。

もし、愛犬が誤飲したとき、どのような対応をしたらよいのかと、少し調べてみました。

犬の誤飲とは?犬の年齢や季節にも傾向があります

散歩の途中で落ちていたもの、家の中で転がっていたもの、庭に生えていた植物など、飼い主が知らない内に犬が勝手に食べてしまうことがあります。こんなものは食べないだろう、と油断していると、パクッと食べてしまい、のどや胃などに詰まってしまうこともあります。

このように本来、犬が食べてはいけないものを食べてしまうことを「誤飲」と言います。

アニコムの調査によると、犬の誤飲が一番多いのは0歳、1歳の子犬だそうです。

誤飲

《引用記事》 年末年始は、ペットの“誤飲事故”注意期間です!

考えてみると、犬は人間の赤ちゃんとよく似ています。赤ちゃんも好奇心が旺盛で何でも口に入れてしまい、誤飲することがよくあります。赤ちゃんの手の届く範囲には、「飲み込めるようなものは絶体に置かない」というのは育児の基本中の基本です。

室内飼いのワンちゃんの場合も同じなのですが、人間の赤ちゃんと違って行動範囲が広いので、ついつい油断してしまいます。ちょっとした油断から思ってもいなかったものを誤飲する子が多いみたいです。

また、アニコムの記事によると、クリスマスや年末の大掃除がある12月がもっとも誤飲事故が多く、ついで1月が比較的多くなっています。これは、パーティなどで来客が多くなること、年末の大掃除で忙しくなることが原因です。

犬に慣れていない客人が不用意に食べ物を与えたり、忙しく働いているとツイツイ油断してしまうそうです。普段と違う生活をする場合には特に誤飲に要注意です。

誤飲で異物が詰まってしまうのはどこか

犬が誤飲して、食べたものが詰まってしまう箇所は食道、胃、腸と主に3か所あります。

食道で詰まった場合

食べ物、食べられない物であっても、どちらの場合も、大きなものを丸飲みすると、のどで詰まってしまう場合があります。

犬の場合、もともと食べ物を丸飲みにする習性があるので、喉に食べ物を詰まらせて、よく吐くことがあります。通常であれば、自分で食べたものを吐き出すことができるのですが、運悪く完全に詰まってしまうと、吐きたくても吐けない状態になります。

万一、食道に物が詰まると気道を圧迫して、呼吸困難になることもあります。

呼吸ができない状態になると、とても危険な状態になります。

人間の場合でも、高齢の方がお正月にお餅をのどに詰まらせたとニュースによくなりますが、犬でも高齢になると飲み込む能力も落ちることから、詰まりやすくなります。

老犬の場合には、特に食べ物を細かくしてあげるなど、気を付けてあげましょう。

胃、腸で詰まった場合

胃の出口(幽門)は意外と狭いものです。少し大きなものはここで詰まってしまうことがよくあります。幽門で物が詰まると、嘔吐するようになります。

また、運よく幽門を通過しても、今度は腸で詰まってしまうことがあります。もし、腸で詰まったまま放置すると、腸閉塞を起こしてしまい、頻繁に嘔吐を繰り返し、命にかかわることになります。

犬が誤飲したときの対処法

犬が誤飲したことが分かっている場合には、基本的にすぐに動物病院に連れていき、獣医さんに診てもらった方がよいです。

ワンちゃんが元気な場合でも腸で詰まったりすると、腸閉塞などたいへんな事態になることもあります。また、獣医さんに診てもらうときですが、何を誤飲したのか、いつ誤飲したのか、が重要な情報になります。整理してしっかり伝えられるようにしましょう。

もし、小さなものを誤飲した場合には、運が良ければ2,3日でウンチと一緒に出てきます。病院に行っても経過観察されることもあります。ただ、胃の出口はとても狭くなっており、小さなものでも詰まってしまうことも多く、最悪の場合、命が危険になる場合もあります。

また、誤飲でのどに異物が詰まってしまい、呼吸困難になった場合は病院に連れて行く余裕はありません。ご自分でも応急処置ができるようにしっかりと準備しておきましょう。

のどに詰まらせて、愛犬が呼吸困難になっている場合

ワンちゃんが呼吸困難でぐったりしている状態では、飼い主が応急処置できるかで、生死を分けることがあります。

まずは、オロオロせずに、落ち着いて行動することが一番大切です。

のどに異物を詰まらせたときの応急処置

  1. まず、ワンちゃんの体をできるだけ固定します。もう一人いれば、ワンちゃんが動かないようにしっかりと押さえてもらいます。
  2. ワンちゃんの口を開けさせ、手で舌を引き出します。
  3. 懐中電灯で口の中を照らしてみて、異物がひっかかっていないか、よく確認します。
  4. もし、異物が見えるようであれば、ピンセットなどでゆっくりと取り出します。
  5. ピンセットで取り出すことが無理な場合、
    小型犬の場合:足の付け根をもって、逆さまに持ち上げ、背中を叩いて異物を押し出します。
    大型犬の場合:逆さまに持ち上げるのが難しい場合には、横向きに寝かせて、肋骨の下をグッと押し上げます。
  6. それでも取り出せない場合は、最終手段です。細長い棒を口から突っ込み、異物を胃の中に押し込みます。

呼吸困難になっている場合には、一刻を争います。まずは呼吸が確保できるように全力で対処してあげましょう。

異物を飲み込んですぐの場合の処置

玉ねぎなどのネギ類、チョコレート、キシリトールガム、ラップなどを犬が誤飲した場合、まだ胃に留まっている状態であれば消毒用の「オキシドール」を飲ませることで吐き出す場合があります。

オキシドールを水で3倍程度に薄めたものを20㏄くらい飲ませます。飲み込んで1時間以内が目安のようで、時間が経つと胃を通過してしまい、吐き出すことが出来なくなります。

よく、濃い食塩水でも吐き出すことができるとの情報があるのですが、もし吐かなかった場合には塩中毒になる危険性があるので絶対に止めた方がよいです。

また、塩分は血圧を上昇させるので、チョコレートや玉ねぎなどの中毒症の場合にはさらに危険な状態となります。ちなみに食塩の致死量は体重1kgあたり3~5gと言われていますので、塩も取り過ぎるとかなり危険な毒物になります。

オキシドールも塩も、犬にとっては毒となります。ただ、オキシドールの場合は、胃酸と反応して水と酸素になり、その酸素ガスが胃の中に大量にたまることで内容物を吐き出させる効果があります。このため、塩と比較すると安全だと言われています。

経過を観察した方がよいもの

乾燥剤のシリカゲル、少量のタバコ、ゴキブリ団子など、それほど毒性が強くないものは無理に吐かせるより何もせず、ワンちゃんの様子を観察した方がよいです。 また、紙類や小さなものの場合、2、3日するとウンチと一緒に出てくることも多いです。

心配であれば、まずは獣医さんに相談しましょう。

すぐに病院へ直行すべきもの

人間用のお薬、洗剤、殺虫剤、爪楊枝など先のとがったものは吐き出せることができません。すぐに病院に行きましょう。

誤飲で病院にかかったときの治療費について

異物誤飲で動物病院にかかった場合、飲み込んだものや、その大きさ、詰まっている位置によって治療内容がかなり違います。また、治療費も病院によってかなり幅があります。

病院ではまず、レントゲンや超音波で異物の状態を確認します。小さな異物の場合は嘔吐剤を注射し、吐かせます。注射だけで済めば、30,000円~40,000円以内のようです。

もし、内視鏡での取り出しとなると全身麻酔が必要になるため、麻酔による危険性と治療費も跳ね上がります。さらに開腹手術となると、その後の入院費用も必要になり、100,000円を超える治療費が必要になります。

また、誤飲は突然起こるため、深夜の受診もあり得ます。深夜の場合には、さらに割り増し料金も加算されます。

ネットでは誤飲で50万円も治療費がかかったとの情報もありましたが、病院によってはボッタくり?もあるようです。ただ、緊急の場合に病院を選択している余裕がないため、普段から信用できる行きつけの動物病院をもっておくことも大切です。

《参考記事》 間違えないための動物病院の選び方-良い獣医さんを見極めるには

ペット保険の免責事項にはご注意

犬の誤飲で治療する場合、気を付けたいのがペット保険の免責事項です。

折角ペット保険に入っていても、ペット保険によっては「誤飲」に対して免責(支払対象外)としているものがあります。

また、ペット保険によっては誤飲に対する取扱いを明確にしていないところも多く、飼い主の責任として免責対象となる場合があるようです。ケースバイケースのようですが、実際に保険金を請求してみないと補償対象かどうかわからないのは不安です。

犬の誤飲はよくあることなので、誤飲についてしっかりと補償してくれる保険会社を選びたいものです

《参考記事》 異物誤飲、歯科医療、膝蓋骨脱臼を補償してくれるペット保険はどれ?

《参考記事》 ペット保険の「免責事項」とは?-契約前には必ずチェック

犬の誤飲で気を付けないといけないもの

犬がよく誤飲するものは、家の中にたくさん転がっています。普段から注意することが大切です。ざっと、思いつくものをリストアップしてみました。

つまようじ、竹串など尖ったもの誤飲で多いのが竹串です。串カツなど料理に使った串にはいい匂いが残っており、そのまま食べてしまうことがあります。ただ、竹串は尖っているので、無理に取り出そうとすると内臓を傷つける恐れがあり、とても厄介です。すぐに病院に行きましょう。
とうもろこしの芯、果物の種普段から果物を食べているワンちゃんでは違和感もなく、種をパクッと食べてしまうことが多いようです。特に大きめの種である、柿、スモモ、プルーンなどは要注意です。
輪ゴム、ヘアーゴム、ヘアピン、消しゴムなどの小物もちろん、消化されないため、胃の中に溜まったままになることがあります。「もなか」が子犬のときなのですが、机の上に置いていたボールペンや消しゴムを目を盗んではどこかにもっていき、噛んでボロボロにして遊んでいることがよくありました。
人間用のお薬、湿布などの医療品湿布など匂いがキツイものは特にワンちゃんが気になるようです。かぜ薬や鎮痛剤などを大量に食べてしまった場合にはすぐに病院に行きましょう。また、病院で治療する場合、食べたものによっても対処方法が違ってくるので、食べた薬品の容器も持っていくようにしましょう。
ペットシーツ、新聞、ティッシュペーパー、ノートなどの紙類紙なので少量なら特に問題なく、ウンチとして出てくることが多いです。食べた量にもよりますが、様子を見てみましょう。
タバコ犬の誤飲で多いのがタバコの吸い殻です。灰皿に残っている吸い殻をワンちゃんが誤飲することが多いのです。タバコは少量でも中毒症を起こすことがあり、とても危険ですが、本当の少量の場合には慌てて吐かせるよりはしばらく様子をみて見ましょう。4、5時間経って何も症状がなければ心配することはありせん。

《参考記事》 犬が食べてはいけないもの、タバコ、野菜、卵
ビニール袋、ラップなどビニール類食べ物を包んでいたラップなどはいい匂いするので、食べてしまうワンちゃんもいます。
犬のおもちゃゴムボールやぬいぐるみなどをワンちゃんに与えると、すぐにボロボロにされてしまいます。ぬいぐるみの場合には、中に入っている綿や取れた目、鼻などを食べてしまうことがあります。おもちゃで遊ばすときには必ず一緒に遊ぶようにしましょう。
殺虫剤、除草剤、洗剤などの化学薬品万が一、殺虫剤を舐めたり、食べてしまうと、中毒症状を起こすことがあります。様子がおかしい場合にはすぐに病院に連れて行きましょう。また、散歩のときに雑草を食べるワンちゃんも多いですが、夏になると除草剤をまいている原っぱも多くなるので、気を付けていないと危険です。変に枯れている草むらには近づかないようにしましょう。
ネギ類、チョコレートなど、犬が食べると中毒になる食品人間が食べても平気なものでも、犬にとっては中毒を起こすものがいくつかあります。玉ねぎ、チョコレート、キシリトール、ぶどうには特に気を付けましょう。

《参考記事》 犬が食べてはいけないもの、チョコレート、キシリトール、ネギ類etc

まとめ

犬の誤飲は飼い主の注意で防げるものです。

我が家では最近、血の付いたティッシュペーパーに「もなか」が異常に反応します。ゴミ箱にきちんと捨てても血の臭いがすると、必ず引っ張り出してビリビリにしていました。こんなケースでは、ゴミ箱をふた付きにするだけでもかなり効果があります。

「うちのワンちゃんは大人になって、賢くなってきたから大丈夫」と、つい思いがちです。

好奇心が旺盛なワンちゃんにとって、初めてのものは何でも気になるものです。特にニオイが強いものに、反応することが多いです。

ちょっとした不注意が大事故につながってしまう場合もあるので、お互いに注意しましょう。

 

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