下記の記事にもあったのですが、ウェブサイトで再生医療を謳っている動物病院は160以上もあるそうです。
ただ、まだまだ確立された治療法ではなく、その効果も限定的なものだそうです。そのため、ペットの治療法や治療費に関するトラブルも増えており、今月初めには関連学会がガイドラインを発表していました。
ということで、今回はペットの再生医療について調査してみました。
ペットの再生医療とは?
その中でも有名なのは、タコやトカゲ、イモリです。タコの足やトカゲのしっぽは、一度切れてしまっても自力で再生することができるのをご存じの方も多いでしょう。
このような動物の再生能力を、医療分野にも適応したものが再生医療と言われています。
臓器や体の一部が正常に機能しなくなったり、欠損した場合など、その部分を交換して元の機能を回復させる治療方法のことです。
広義には、生体間移植も再生医療と言えます。
再生医療には色々な種類があるのですが、今注目されているのは、幹細胞と呼ばれる色々な細胞になることが出来る細胞を利用して、治療したい組織や臓器を再生、それを患者に移植することで病気を完治させる治療法です。
今まで、薬や手術では治療できなかった難病でも、治療が可能となることから、今、注目されている最新の医療技術です。
近年、その最先端の医療技術がペットにも適用されるようになってきているのです。
つい最近では、ペット保険で超有名なアニコムと富士フィルムが提携し、再生医療関係の合弁会社を作っていました。
《参考》 セルトラスト・アニマル・セラピューティクス株式会社
このように、再生医療はペット医療においても、大注目なのです。
とはいっても、まだまだ実験段階である
ペットの再生医療は、実験では治療効果があると言っても、まだまだ臨床数が少ない、新しい治療法です。
人の場合でもそうなのですが、ペットの場合には特にその治療方法が確立されていないのが実状のようです。
また、人では効果的な治療法であっても、ペットにも同じように有効かどうか、分からないことも多いようです。
そのため、最初にご紹介した関連学会のガイドラインでは、獣医師に対して、科学的に効果がある治療法であっても、その治療法が確立したものではないことを飼い主に説明するように求めているのです。
ペットの再生医療として代表的な治療法
《参考》 日本獣医再生医療学会
免疫細胞治療
ガンに対する治療法の一つです。動物が元々持っている、免疫細胞のリンパ球を培養して体の免疫力を高める療法です。要は、体の免疫力を強化して、がんをやっつけるのです。
患者であるペットの血液からリンパ球などを取り出し、それを培養、活性化したものを再度、体の中に戻します。
元々、自分の細胞から培養したものであるため、副作用がほとんどない治療方法として、人のガン治療でも注目を集めています。
ただし、今の技術では大きなガン細胞に対してはあまり効果はなく、微小なガン細胞による再発防止や放射線治療によって小さくなったガンに対するダメ押し的な治療となります。
骨髄幹細胞治療
ペットの高齢化にともなって発生する骨折や関節炎、また、椎間板ヘルニアによる歩行困難に対して、細胞療法が用いられています。
犬の骨髄液や皮下脂肪から幹細胞を取り出し、培養した後にそれを患部に移植します。幹細胞が失われた骨や細胞を復元することで、患部を治療するのです。
細胞治療を行っている動物病院のホームページでは、一回の細胞摂取で3回の移植が可能ともありました。移植回数が増えるとその分、治療費も高くなります。
ただし、今のところ、100%治るという治療法ではありませんが、状況によっては80%ほどの患者に効果が期待できるともありました。
椎間板ヘルニアなどでは脊髄損傷後、できるだけ早く治療した方が、回復する確率が高くなるそうです。
気になる再生医療にかかる治療費は?
そして、気になるのがその治療費です。
いくつかの動物病院で治療費が公開されていましたが、ほとんど開示されていませんでした。
ただ、公開されているデータを見る限りでも、再生医療にかかる費用は、動物病院によって大きく異なるようです。
これは、再生医療に限ったことではなく、他の病気治療でもその傾向はみな同じです。それは、基本的に動物医療はすべて自由診療だからです。
自由診療とは、決まった料金がなく、医療機関が自由に設定した料金に基づいて治療が行わることを言います。
《参考記事》 動物病院でのペットの治療費はなぜ違うのか-平均的な値段を調査
当然、この新しい治療法についても、獣医さんが自由に診療費を決めることが出来ます。そのため、病院によって、その治療費は大きくぶれてしまうのです。
特に細胞治療の場合、どのような方法で再生医療を行うかによって、その治療期間も大きく違っており、かかる治療費も大幅に変わってくるのです。
細胞治療では、まず、細胞を採取して培養する必要があります。そのあと、培養した細胞を体内に戻すのですが、これを複数回行う場合もあります。その後、経過観察となります。
ざっと見積もって、安い病院でも10万円~、通常は数十万円はかかるそうです。
これだけ支払って、まったく効果がないとなると、確かにトラブルの元となるかもしれません。
まとめ
そのため、愛犬の病気を治せるかもと、この治療法に期待している人もたくさんいると思います。
ただし、この治療法も万能なわけでもありません。このような再生医療は、まだまだ研究が盛んにおこなわれている新しい治療法でもあり、完全に確立されたものではないのです。
そのため、動物病院によってもその治療法に違いがあったり、効果が怪しい治療や、治療費をめぐるトラブルも多くあるようです。
動物医療については、その治療費が全額自己負担ということもあり、先端医療を受けるには高額な治療費も必要になります。
くれぐれも、信頼がおける病院で一度ご相談してみて下さい。