SFTS(重症熱性血小板減少症候群)ウィルスという病原体を聞いたことがあるでしょうか。
最近よく耳にするのですが、マダニを媒介して人間に感染するウィルスです。感染すると最悪の場合には、死亡することもあり、その危険性が指摘されています。
ダニと言えば、ワンちゃんにはとっては大敵です。
一度、うちの「もなか」にも付いていたことがありました。幸いにもまだ吸血していなかったため、ガムテープで捕まえることができ、簡単に駆除できました。
その後は、散歩のときに草むらに入り込まないように気を付けています。今回のSFTSについては、とても危険なウィルスということで、気になったので、少し調べてみました。
そもそもSFTSウィルスとは何者?
元々は中国で2009年に原因不明の感染症が発生し、2011年になって初めて発見された新種のウィルスです。
2013年には日本でも初めて確認されており、現在までに計200名以上が感染したとされています。
今のところ、西日本で人への感染が多く確認されており、東日本では人への感染報告はありません。
《参考》 厚生労働省発表
《参考》 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)に関するQ&A
SFTSの人への感染経路はマダニ
SFTSはウィルスを補菌しているマダニに咬まれることによって、感染すると言われています。
家の中でよく大量発生するコナダニや衣類や寝具に発生するヒョウヒダニなどとは、種類が異なるダニです。
マダニは森林や草むらなど、野外で生息している大きなダニです。(とはいっても、体長が3,4mmぐらいの豆粒サイズです)マダニには、数十種類も色々な種類がいるのですが、家の近所のちょっとした草むらにでも生息しています。
マダニは一年中、生息しているのですが、特に5月から9月頃が一番活発になる時期です。この夏の暑い時期には、肌を露出する服装となるため、ちょっとした草むらに入っただけでもダニに吸血されてしまうことがあるのです。
また、SFTSは感染者の血液,体液からの接触感染も確認されています。
ただし、インフルエンザのように空気感染はしないです。
SFTSはなぜ東日本での発症例がないのか?
SFTSは西日本でのみ発症例が報告されており、東日本ではまったくありません。
《引用元》 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
とても、不思議な状況なのですが、その原因については、今のところ、よく分かっていないらしいです。
一番、有力そうな説として、西日本と東日本では生息しているマダニの種類が違うので、今のところ、東日本ではSFTSへの感染例がないというものです。
日本では、これまでの調査で複数のマダニ種からSFTSウィルスの遺伝子が確認されています。ただ、確認されたすべてのマダニがSFTSを媒介するのかなどについては、詳しくは分かっていません。
また、東日本でSFTSがまったく見つかっていないかというと、そうではなく、北海道を含む東日本でもチラホラとSFTSウィルスを保有するマダニが見つかっています。
このため、東日本でもSFTSウィルスを保有するマダニが増えて、人への感染報告が出るのは時間の問題なのかもしれません。
SFTSに感染すると重症化して死亡するケースが多い
ウイルスに感染した場合、潜伏期間が6日~14日あり、その後38度以上の発熱と、消化器官系の症状(食欲低下,嘔気,嘔吐,下痢,腹痛)が特徴的です。
名前の由来のとおり、感染すると血液中の血小板、白血球が減少することから、早めに集中治療しないと命の危険もあります。
時に、頭痛,筋肉痛,神経症状(意識障害,けいれん,昏睡),リンパ節腫脹,呼吸器症状(咳など),出血症状(紫斑,下血)も引き起こします。
SFTSは重症化して最悪死亡するケースも多く、死亡率は6~30%と言われています。その死亡率から、かなり危険なウィルスです。
SFTSの治療方法は今のところなし
現在のところ、SFTSに対する有効な治療法はなく、治療は対症療法のみです。
このため、体力がない高齢者が感染すると重症化するケースが多く、ニュースでも高齢者の死亡例がよく報道されています。死亡例のほとんどは60歳以上です。
国立感染症研究所の下記サイトにもあったのですが、現在治療薬を開発中とのことです。
《参考》 抗SFTSウイルス薬開発の進捗状況
SFTSは犬にも感染・発症するのか
先の厚生労働省のQ&Aにもあったのですが、SFTSは人以外の哺乳動物でも感染することが知られています。日本国内でもシカやイノシシ、猟犬の血液検査をしたところ、SFTSウィルスに対する抗体反応が見つかったとあります。(抗体があるということは、一度、SFTSウィルスに感染したことを意味します)
ただし、今のところ、人以外の動物では、たとえSFTSウィルスに感染しても発病しないと考えられています。
また、SFTSに感染した動物の肉を食べて感染したという事例はないようです。
マダニ対策として、気を付けること
- 犬の散歩の際、草むらにはできるだけ入らないようにしましょう。ただ、マダニはちょっとした草むらを通っただけでも付くことがあります。長ズボンを着用するなど、できるだけ肌の露出をさけることも重要です。
- マダニの活動が盛んな、春から秋にかけては特に注意が必要です。
- 散歩から帰ってきたとき、ワンちゃんにダニがついていないか、念入りにチェックしましょう。
- もし、マダニに咬まれた場合、無理に引き離すとマダニの一部が体に残ってしまいます。これが皮膚炎の原因となってしまうこともあるため、無理に引きはがさない方がよいです。血を吸う前のマダニであれば、それほど問題はないのですが、吸血して大きくなっていると、かなり取るのが難しいようです。
無理に引き離さず、病院に行って取ってもらうか、最近では下記のような便利グッズも売ってますので、予め用意しておいてもよいかもしれません。
ダニの一部が体に残ったら
ダニの体の一部が残ってもそれほど心配はありません。
トゲと同じで、無理にほじくらず、放置すればOKです。しばらく経つと、自然に出てくることが多いみたいです。ただし、患部が腫れるようなことがあれば、医療機関で受診ください。
もしマダニに咬まれたら
噛まれてから2週間は体調に注意し、もし、発熱など体調が悪くなった場合にはすぐに医療機関で診察してもらいましょう。
まとめ
今回調べてみて、SFTSという新種のウィルスは、思っていた以上に怖いウィルスでした。
特に、マダニを媒介して感染するので、ワンちゃんの散歩のとき、ちょっとした草むらでも注意が必要です。とは言っても、いつもマダニに注意するのは、とても大変なんですが。。。
ただし、当のワンちゃんはたとえSFTSに感染しても発病することはなく、そこまで心配することはありません。
SFTSが怖いのは、人間だけのようです。
万が一、人がSFTSに感染すると、死亡することもあるほど重症化するケースも多いので、マダニが活発になる夏の季節にはお互いに要注意です。