混合ワクチンは本当に年1回接種する必要があるのか

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もなか犬の混合ワクチン予防接種と言えば、子犬を買ったときに混合ワクチンを接種するのが当たり前のように店員さんや獣医さんに言われ、子犬のときに接種してそのまま年1回接種し続けている人が多いのではないでしょうか。

何種類ものワクチンを一度に接種する混合ワクチンですが、感染すると命の危険があるような感染症から風邪程度症状のワクチンまで一緒くたになっており、本当にどこまでが必要なのか、分かり難いです。特に犬の感染症については聞いたこともない名前の感染症も多く、それが怖い感染症なのかさえわからないまま、獣医さんに言われるがまま、5種、8種、9種など混合ワクチンからワンちゃんの行動範囲を考慮して接種している方も多いのではないかと思います。

人間の場合は此処まで大量の混合ワクチンを一度に接種することはまずないです。

なぜなら、複数のワクチンを同時に接種することには、ある程度の危険性があるからです。犬の場合、そんなに手間とコストをかけられないという理由で1種類ずつ接種するということをしないのだと思われます。

ワクチンには副作用もあることからできる限り使わない方がよいとは思うのですが、怖い感染症からワンちゃんを守るために必要最低限のものは受けさせたいものです。

そのあたりについて、調査してみました。

ワクチン接種は3年に1回でよい?

アメリカ動物病院協会の報告で、コアワクチン(重度の症状を発症する危険性のある病原体に対するもの)に関しては3年に1回の接種でその効果が持続するということが報告されています。

ペット先進国であるアメリカでは、狂犬病などを含むコアワクチン予防接種については、すでに3年に1回で十分とされているようで、コアワクチンについては、基本、3年に1回でよいというのが世界の常識になりつつあります。

愛犬のワクチンをどう選ぶ?」でも述べられているのですが、現状の日本では過渡期のような状況でワクチンを受けさせる、させないは飼い主の判断に任せられている状況です。

まだまだ、日本では、この指針は一部の獣医にしか取り上げられていないのが実情なのですが、下記の日本獣医学会のQ&Aにも記載されているように地域のリスクに応じたプログラムを提案する動物病院も多くなってきているようです。

<参考記事>「日本獣医学会 犬猫のワクチンについて

 

「もなか」の場合でも今までは毎年、8種混合ワクチンを受けさせていたのですが、上記のような状況のなか、今後どのようにすべきか、考え中です。

少なくとも動物病院の言われるがまま、予防接種するようなことはしないようにと考えております。

予防接種している犬の割合

都道府県別の犬の登録頭数と予防注射頭数等」によれば、法律で義務付けられている狂犬病予防接種でさえ、登録犬数の70%程度のようです。

色々なサイトを見ていると、その他混合ワクチンの接種については30~40%程度(正確なデータではないです)のようです。

こうして見ると、混合ワクチンを接種している犬は思ったより少ないみたいです。

予防接種の効果

ワクチン接種をしたからといって100%感染症を防げるということはないです。犬種やそのワンちゃんの体質によっても抗体が出来にくい場合もあり、コア5種ワクチンでの効果は90%程度と言われています。

予防接種しないときのデメリット

感染症予防出来ないのは当然なのですが、それ以外にもペットホテルやドッグランなど犬が集まる場所への出入りが制限されることがあります。

犬の集まる場所では、狂犬病予防接種や混合ワクチン接種証明書を提示しないと入れてもらえないところも多いです。

予防接種コア5種について

ざっと予防できる病気について調べてみました。

犬ジステンパー

感染した犬の咳や鼻汁などを介して飛沫感染します。免疫機能が弱い子犬や老犬の方が感染しやすいようです。

感染後、3~5日で発熱を伴って発症し、主にリンパ系組織でウィルスが増殖します。最初の発熱はすぐに収まるのですが、その後数日をおいて2回目の発熱が1週間程度続きます。2回発熱することが大きな特徴となっております。

症状が進むに従って、激しい咳、血便を伴う下痢症状が出始め、末期には麻痺や痙攣などの神経症状を起こし、死亡する確率が高い感染症です。
感染すると治療法がなく、助かったとしても一般的に予後は悪いようです。

犬パルボウイルス感染症

感染した犬の糞や吐物に残っているウィルスを吸い込むことで感染します。

2~11日程度の潜伏期間ののち、発症すると激しい下痢や嘔吐の症状が出始めます。
特に子犬の場合では、心臓でウィルスが繁殖することがあり、心不全により突然死することもあります。
一旦発症すると、対症療法しか治療法はないのですが、十分な体力がある場合にはしばらくすると免疫を獲得し、自然回復します。

犬アデノウイルスI型感染症(犬伝染性肝炎)

感染した犬の咳、糞、吐物などすべてのものにウィルスがおり、それを吸い込むことで感染します。

感染すると、肝臓に炎症が起こることが特徴的で、嘔吐、高熱、下痢、腹痛などの症状がでます。ただし、症状の程度としては自覚症状がないものからかなり重度のものまで様々です。軽度の場合では、軽い風邪程度の症状ですが、重度になると、肝臓機能不全を引き起こし、脳炎となる場合もあるようです。

特に子犬が感染した場合には、発症後24時間以内に死亡するケースもある怖い感染症です。

犬アデノウイルスII型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)

感染した犬の咳などによって飛沫感染します。

咳や発熱といった風邪のような症状です。このウィルス単独感染の場合には比較的症状が軽い場合が多く、ほとんどは1週間程度で回復します。

犬パラインフルエンザ

感染した犬の咳などによって飛沫感染します。

アデノウイルスII型と同様に風邪の症状を発症します。症状も合併症がない場合には比較的軽いものが多いです。

その他の感染症について

    • 犬コロナウイルス感染症
      感染した犬の糞を嗅いだり、舐めたりすると感染します。比較的病原性は弱く、感染しても症状がでない場合もあります。症状は腹風邪と言われるような、下痢や嘔吐の症状がでます。このウィルス単独では重症化することはありません。
    • 犬レプトスピラ病(カニコーラ型)
    • 犬レプトスピラ病(黄疸出血型)
    • 犬レプトスピラ病(へブドマディス)

どのレプトスピラ病でも感染経路や症状は大体同じようです。

感染した犬やネズミなどの尿によって感染します。

感染すると細菌によって腎臓や肝臓が侵され、発熱、嘔吐、下痢、脱水症状を起こします。腎炎の程度によってかなり症状に違いがあり、自覚症状のない犬もいれば、急性タイプでは、尿毒症で発症から数日で死亡してしまう場合もあります。

また、レプトスピラ病は人間やその他の動物にも感染する感染症で、発症を確認した獣医は国に届け出る必要があります。
レプトスピラは地域によって発生状況が違い、現在のワクチンでは完全には予防できず、効果としても75%以下とも言われています。

ただ、レプトスピラ病は日本国内ではそれほど発生しているわけではなく、年に数十件程度のようです。
監視伝染病の発生状況

結局、ワクチンを受けさせるべきか

色々と調べると、コアワクチンについては、成犬になってからは3年に1回で良いというのが、世界の常識になりつつあるようです。

ただ、いつも行っている動物病院ではそのような話は聞いたことがなく、今のところ、「もなか」は毎年ワクチン摂取しております。過剰なワクチン接種は副作用もあるため、避けたいとは考えているのですが、今度行ったときには軽く確認してみようかと思っています。

 

どのようなワクチンを接種すべきは、ワンちゃんの行動範囲にもよりますし、以前に受けた予防接種の抗体が残っているかどうかにもよるようです。動物病院によっては抗体価検査をしてくれるところもあるので、予防接種前に検査するというのもよいかもしれません。

分からないことは獣医さんに必ず確認するようにして、ワンちゃんに最善の方法を選んであげて下さい。

 

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