ペット関連市場としては、犬の飼育数がマスマス減少気味なのですが、ペットの高齢化に伴う医療費の増加、食べ物・遊び道具など飼い主が犬、猫にかける費用は年々、上昇しており、業界としては引き続き、好調なようです。
特にペット保険業界では、前年に引き続き、保険契約数(契約保険料)の増加が目立っていました。
背景には、ペットの高度医療化に伴う医療費へ不安がある中、猫も含めて、今までペット保険に入っていなかった方の加入が増えているようです。
このため、今回の決算発表では、初の黒字化を達成した会社が2つもありました。
《去年の記事》 平成27度のペット保険各社の業績はどんな感じ
ペット保険各社の平成28度の決算状況
保険 会社 | 保険料 収入 | 経常利益 | 会社業績 |
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アニコム | ◎ 契約数が63万5,670件、前年比8.5%増と順調に増加し、今期も増収、増益。増加率は前年比の大幅増益に比べると少し物足りないですが、二桁の増益です。 |
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アイペット | ○ 保険料収入は順調に伸びるも、収益は少し減収とちょっとイヤな感じです。原因は、保険金支払い率が多くなっているのと、一般管理費が増加し、折角の保険料増収を打ち消した感じです。 |
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ペット&ファミリー | △ 去年に引き続き、保険料収入が二桁増で伸びており、業績は上向き。また、今期、初の黒字決算を達成しました。 |
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日本アニマル倶楽部 | △ 増収、減益。保険料収入は前年に引き続き2桁増加と調子が良いのですが、営業・一般管理費がかなり増加していることが響き、利益がそれほど出ておりません。 |
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ペットメディカルサポート | △ 保険料収入の大幅な増収で、初の黒字化を達成。また、保険料収入では「もっとぎゅっと」を抜きました。 |
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もっとぎゅっと | △ 前年と同じく、保険料収入が2桁の伸びであるが、保険金支払いと事業費がかさみ減益となっています。 |
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au損保 | (1.16%増) | × 保険料収入は若干伸びたのですが、保険金支払いが大幅に増えたことで赤字に転落。ただし、損保会社としてペット保険の割合は良くわかりません。 |
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アクサダイレクト | ○ 増収、増益。ただし、業績に占めるペット保険の割合はかなり低い。 |
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ペッツベスト | × 保険料収入が大幅増したものの、事業費も膨らみ、最終損益はほぼ変わらずでした。 |
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日本ペットプラス | × 保険料収入が大幅増し、赤字額もかなり削減。ただし、まだまだ厳しい状況です。 |
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FPC | 決算公告がホームページに見当たらない |
※会社業績はあくまで私の個人的感想を○、△、×で表しただけです。正確な情報は各社が開示している決算情報を参照してください。
アニコムの一人勝ちが加速?
ここ数年、ペット保険会社の毎年決算状況をチェックしているのですが、アニコム様の一人勝ちがマスマス際立ってきました。
アニコムは去年に引き続き、絶好調な好決算の中、ライバル?であるアイペットは減益となってしまいました。しかも、保険料収入はかなり増加しているにも関わらず、減益となっています。
これは何を意味しているのでしょうか?
保険契約の規模だけでみれば、アイペットも全体の2割のシェアがあり、それなりに大きいのですが、その収益構造はかなり違います。それは、保険料収入に対する利益率を比べてみれば、ひと目でわかります。
アニコムの利益率(※経常利益/保険収入)8.7%に対して、アイペットでは3%弱しかありません。これでもアイペットはかなりマシな方で、他の会社ではもっと低いところもあります。
アニコム様の高収益体質は圧倒的なのです。
まあ、これだけの業界No.1シェアを持っていれば、当たり前なのかもしれませんが、その高収益からくる安定感は他の追随を許さないです。
ペット保険各社の状況
それでも、各社ともに保険料収入が2桁増となっているのは、ペット保険業界としての好調ぶりがよく反映されています。
また、ペット&ファミリー、ペットメディカルサポートの2社については、今決算で初の黒字化を達成しました。保険業界では、創業してから黒字化するだけでもかなり大変なので、これからの業績アップに期待が出来そうです。
ただし、そんな好景気の中、先に触れたアイペットのように利益を落としている会社もチラホラとあります。
特に、増収、減益というパターンが多いのが気になります。
今は、ペット保険業界が盛り上がっており、保険契約数も伸びているからまだよいですが、これが一旦下り坂になると、たいへんなことになりそうです。
業界の競争激化に伴って、営業費や保険金支払いがかさんだ結果だと思われるのですが、早く、収益構造を改善しないと、今後の厳しい競争に付いていけなくなりそうです。
あと、前回のときにも書いたのですが、各社のホームページでIR情報を確認していると、情報の出し方一つとっても、大手と小さな会社ではかなり違います。特に、小さい会社の場合に多いのですが、ホームページでの情報開示がほとんどないです。
本来、保険業法では、たとえ少額短期保険業者であっても、事業報告書やディスクロージャー誌などによる情報開示を義務付けられているはずです。(ホームページ以外で公開しているのかもしれませんが、それではわかりません。)
《参考ページ》 少額短期保険業とは
まとめ
今は、ペットの寿命もかなり延びおり、愛犬の老後の医療費増加を心配している人も多いかと思います。
《参考記事》 10歳以上でも入れるペット保険はどれ?おすすめはこれ!
そのため、ペット保険を改めて検討している人も多いかと思います。
ペット保険では、保険の補償範囲や保険料だけに目が行きがちですが、その会社の経営状況も厳しくチェックすべきです。
もし万が一、愛犬が高齢になってから、加入していたペット保険会社がつぶれてしまったら、元も子もありません。
特にペット保険では、新規加入に対してペットの年齢制限があるため、高齢になってから他のペット保険に切り替えるのも難しくなります。また、年をとってからの新規加入では、それまでに発病している病気は補償対象外となってしまいます。
また、たとえ会社がつぶれなくても、経営状況の悪い会社では、当然、たくさんの保険金を払う余裕がなくなります。そのため、保険金請求時の審査が厳しくなるケースもあるのです。