「もなか」の場合、さんま、サケ、サバなどの焼き魚が食卓に並ぶと、おこぼれにあずかろうと、ずっと狙っています。
特に焼き立ての匂いが好きみたいです。犬の場合、どんな食べ物でもそうなのですが、味というよりはまず匂いに敏感に反応します。ただ、焼き魚だと塩分が強いので、犬には与え難いです。
今回、魚の中でも特に、栄養豊富な青魚である鯖について、犬への与え方、注意点を取り上げてみました。
そもそも、犬は魚を喜んで食べるのか
考えてみれば当然なのですが、明治に入るまで日本では一般の庶民が、ブタや牛のお肉を食べる習慣はありませんでした。そのため、日本では昔から動物性タンパク質と言えば、魚でした。
島国である日本では、豊富に魚が捕れ、鯖街道と言われるぐらい魚の流通が盛んでした。このため、日本中で魚が食べられていました。
当然、人に飼われていた犬たちの動物性タンパク源も魚だったはずです。その証拠として、江戸時代の古い文献によると、犬のエサとしてイワシや煮干しなどが与えられていたことが記録されています。
このように日本犬の場合には、その長年の習性として、動物の肉より魚の方が適しているのかもしれません。
鯖はとても栄養豊富な青魚
鯖は昔から日本では大衆魚としてとても一般的な魚なのです。関サバで有名なマサバと、屋久島や土佐で有名なゴマサバ、あとタイヘイヨウサバなどの種類があります。
昔は安い魚の代表格だったのですが、漁獲量の激減により、最近ではとても高くなりました。特に関サバなどのブランドだと、1匹で数千円するのも当たり前の時代です。
鯖は一年中捕れる魚ですが、鯖の旬は秋です。産卵のために南下するこの時期の鯖は身が締まっていて、蓄えた脂肪が身にも入り込むことで格段においしくなります。また、九州沿岸では、秋より冬の時期の寒サバの方がおいしくなることから、冬が旬となります。
昔から秋ナスと秋サバは嫁に食わすな!、と言われるぐらいメジャーな魚ですが、青魚の王様と言われるぐらい栄養価が高く、特にDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの脂肪酸が豊富に含まれています。また、その他にもビタミンB12、ビタミンDが特に豊富です。
DHAとEPAがとても豊富
オメガ3系の脂肪酸であるDHAとEPAは、どちらも体にとってよい働きをします。
血液をさらさらにする効果があり、動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞の予防など、生活習慣病から体を守ってくれます。
また、DHAは血液脳関門を通過することでき、脳内に入ることで神経伝達を活性化し、脳を元気にする効果があります。昔から魚の目玉を食べると賢くなると言われているのが、このことです。
ビタミンが豊富
ビタミンが豊富に含まれていますが、特に、ビタミンB6、B12、ビタミンDが豊富に含まれています。
ビタミンB12は、動物の肝臓(レバー)に多く含まれている栄養素で、血液を作る働きをサポートします。
ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあり、健康な皮膚、爪、骨を作るために効果があります。
犬に鯖を与えるときの注意点
鯖の鮮度を保つのはとても難しい
鯖などの青魚は大変傷みやすい魚であり、スーパーで買ってきて冷蔵庫に入れていても1日程度しか持ちません。
これは、赤身魚の方が腐敗が早く進むためです。
人間の場合もそうですが、鯖は鮮度の良いうちに食べないと、あたってしまうことがあります。
生では与えない方が無難
アニサキスというのは、イルカやクジラを最終宿主とする線虫の仲間です。見た目はかなり気持ち悪いやつです。
人の場合ですが、もし、アニサキスが体の中に入ってしまっても、寄生されることはありません。ただし、アニサキスが胃の壁などを荒らすことで、数日間は激しい痛みと嘔吐が襲います。
たぶん、犬の場合も同じなのではないでしょうか。(ネットでは犬にアニサキスが感染した事例を見つけれませんでした)
アニサキスは胃などの内臓に寄生するため、特に生の内臓は絶体に犬に与えてはいけません。また、鮮度の悪いものは、内臓から身の方に移動している可能性もあります。
また、アニサキスは酢でしめても死なないことで有名です。そのため、しめ鯖を食べてアニサキスに感染することがよくあるそうです。
基本的に犬に生の魚は与えない方がよいです。
ヒスタミン中毒に注意
鮮度の悪い鯖を食べるとあたることがありますが、この食中毒の原因がヒスタミンという物質です。
少し前までは、魚を流通させるときの冷蔵技術が未熟であったため、青魚を食べたときの一般的な食中毒として知られていました。
今では、技術の進歩により、それほど大量な食中毒というのは起こらなくなっていますが、アレルギー体質の方では、鯖にあたってしまうことが今でもよく起こります。
赤身魚はアミノ酸の一種であるヒスチジンという物質を多く含んでいます。この魚を室温で放置していると、ヒスチジンをヒスタミンに変える酵素を持っている細菌が増殖することで、ヒスタミンが増えていきます。
まだ、魚が腐敗していないにも関わらず、ヒスタミンが大量に増えていることもよくあります。一旦増えたヒスタミンは加熱しても分解しないため、知らずに食べさせるとことで、ヒスタミン中毒になります。
ヒスタミン中毒になると、数時間後に激しい嘔吐、下痢などの症状が起こります。
鮮度の悪い鯖は厳禁です。
イエローファットに注意?
イエローファットとは、猫によくある病気なのですが、青魚に多く含まれるDHAやEPAは酸化しやすいため、大量に食べることで過酸化脂質となり、皮膚の下にしこりができることがあります。この脂肪酸が黄色いためにイエローファットという名前が付いています。
特にビタミンEが不足していると発症しやすいと言われています。
基本的にかなりの偏食をしない限りは問題ないですが、犬の場合でも、鯖の食べ過ぎはよくありません。
大量にDHAやEPAを摂取することで、他の脂肪酸を酸化させたり、活性酸素を増やす原因となり、逆に健康を害することになります。
犬への鯖の与え方
オススメは、鯖缶の水煮です。
缶の中で煮ることで、酸化しやすいDHAやEPAでも、酸素が無い状態なので、ほとんど酸化しません。また、骨まで軟らかくなっているので、骨を気にせず与えることができ、犬に必要なカルシウムの摂取にも理想的なのです。
また、水煮にすることで、塩分もそれほど多くないので、犬に与えるには最適です。
我が家の「もなか」には、いつも手作りの「おじや」を与えているのですが、お肉が無い時など、鯖缶を開けて作り置きのおじやに混ぜて与えることがたまにあります。
《参考記事》 愛犬のための「鶏肉と野菜たっぷりおじや」-栄養たっぷりで簡単調理
まとめ
鯖にはオメガ3系の脂肪酸であるDHAとEPAがたくさん含まれており、摂取することで血液がさらさらになるなど、生活習慣病の予防に最適です。
現在では、肥満気味なワンちゃんも多く、人間と同じように生活習慣病のような現代病にかかるワンちゃんも多くいます。そんなワンちゃんにとっては、鯖はとてもよい食べ物です。
ただし、青魚にはアレルギーが出る場合もあり、特に鮮度の悪い魚は厳禁です。
鮮度には注意が必要な鯖ですが、犬にとってもとてもよい食材なので、一度チャレンジしてみては如何でしょうか。