亜麻仁油とえごま油、どちらがアレルギーに効果があるのか?

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えごま最近、亜麻仁油、えごま油という油が話題になっていますが、ご存じでしょうか。

私も数年前まで全く知らなかった油なのですが、娘と愛犬のアトピー対策をきっかけに「えごま油」をここ数年愛用してきました。

ただ、テレビで「えごま油」がボケ防止にも効果があると報道されてから一気に人気となり、ネットでも買えない状況が続いていました。一時期はオークション並みに跳ね上がっていた値段も徐々に落ち着いてきましたが、話題になる前と比較するとまだ高いようです。

そこで、同じα-リノレン酸を豊富に含んでいる「亜麻仁油」がえごま油の代用にならないかと、調べてみました。 えごま油の効能については以前に以下の記事にも書いておりますので、よかったら読んでみて下さい。

《参考記事》 えごま油はアトピーに効く、アレルギー抑制効果で花粉症も大丈夫

亜麻仁油とえごま油の違いとは?

色々と調べた結果、えごま油、亜麻仁油は脂肪酸の構成比率も似ており、どちらの油もアレルギー抑制効果は抜群です。

また、健康に対する効能にもほとんど違いがありません。

どちらの油もオメガ-3系の脂肪酸であるα-リノレン酸を多く含んでいることが特徴です。その含有量は約60%にもなります。

そのため、α-リノレン酸を摂るためにはどちらも最適な油ですが、えごま油の方が若干多くα-リノレン酸を含んでいる感じです。

健康対策として、どちらの油を常用するかは、味や色の好みで決めてもよさそうです。

個人的には亜麻仁油のあの黄色い色が好きではありません。また、えごまに比べて亜麻仁の方が若干、苦く、魚臭い匂いも強く感じます。ただ、値段だけをみれば、亜麻仁の方が安いです。

えごま油が高くて困っている人は、比較的安く売っている亜麻仁油を試してみては如何でしょうか。

また、どちらの油も空気に触れると酸化されて乾燥、固形化しやすい油です。どちらも昔から日本で使われていた油ですが、当時は食用ではなく、固形化しやすい性質を利用して傘の防水用などとして利用されていました。

味の違い

味については、えごま油も亜麻仁油も若干、魚臭い感じがします。

どちらかと言うと、えごま油の方が癖がなく食べやすいです。亜麻仁油の方ははっきりと苦みがあり、若干生臭さが強いです。

青魚に含まれている油(DHA、EPA)も同じオメガ-3脂肪酸系なので、この生臭さはこの油に共通した味なのかもしれません。

個人的にはえごま油の方が癖がなく、サラダにかけてもあまり違和感がないのでえごま油の方が好みです。ただ、亜麻仁油の苦みが良いという人もいるので、味は好みの問題かと思います。

色の違い

えごま油は透明に近い色ですが、亜麻仁油は比較的濃いめの黄色です。

亜麻仁油ははっきりと黄色いため、サラダにかけると黄色が際立つ感じです。(混ぜてしまえば、分からなくなりますが。。。)

ただ、色は精製の仕方によっても違うので、製品によっても色が違います。実際、日清のアマニ油を使ったときには透明に近い色でした。

えごま油

kobapan えごま

kobapan えごま
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荏胡麻というシソ科の植物の種子から抽出される油です。

えごまは平安時代から日本では照明用の油として使われてきましたが、江戸時代後期には油としての生産効率が良い菜種に取って代わられました。

えごまの健康面での効果が注目されるようになって、最近では食用として人気となっています。

えごま油は亜麻仁油に比べて透明色で、食べたときの癖は少ないです。オリーブオイルダイエットのように毎日スプーン一杯をそのまま食べてよいですが、サラダや豆腐などにかけてドレッシング替わりにするのもよいです。

亜麻仁油

pika1935 亜麻 https://www.flickr.com/photos/93256705@N05/

pika1935 亜麻
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英語ではフラックスオイルと言います。

アマという植物の種子を磨り潰し、油を抽出します。アマは寒い地域での栽培に適しており、日本では北海道での栽培が盛んです。

元々は高級繊維(リネン)として栽培されていましたが、化学繊維の台頭で一時は日本では栽培されなくなっていました。 最近では食用としてアマの栽培が復活し、徐々に広がっているようです。

油は黄金色で、えごま油に比べて若干癖があり、えぐみや苦みが苦手という人もいるようです。

生産国によっても味や風味が違うのですが、値段の安いものを買うと種子の品質や生産工程の違いから、苦みが多くなります。 一度買って、食べ難かったという人は「コールドプレス(低温圧搾絞り)」で生産したものか、生産国を確認して、違う種類のものを試してみてください。

共通する特徴

どちらの油も生産方式は「コールドプレス(低温圧搾絞り)」のものを買うようにしましょう。

大抵のものはコールドプレスと表記があるのですが、たまに無いものもあり、どのように生産されたのか怪しいものがあります。 また、油は種子を搾ったものをそのまま食べるので、できるだけ無農薬や有機栽培にこだわっているものを選びましょう。

遺伝子組み換え製品も避けた方が無難です。特に海外産のものには多いので、気を付けた方がよいです。

オメガ-3系の脂肪酸はとても酸化しやすい油と言われています。折角、体によい油でも酸化すると、活性酸素という体の悪い物質が生成され、逆効果になることもあります。

活性酵素は細胞内のDNAを傷つけ、ガンを増殖させたり、細胞や組織の老化の原因となります。

できるだけ酸化させないように調理方法や開封後は保存方法に気を使う必要があります。

油が酸化する原因

油が酸化する要因には、大きく「酸素」、「光」、「熱」の3つがあります。酸化すると味にも影響があり、苦みが出ておいしくなくなります。以下の点に気を付けて下さい。

  • 酸素 開封後は、酸素に触れることでどんどん酸化していくため、早めに使い切ることが大事です。開封後は2ヶ月以内、できれば1ヶ月ぐらいで使い切るようにしましょう。あまり使用しないのであれば、小さ目のボトルで購入した方がよいです。
  • 光 透明な瓶に入っているものや店頭で箱に入っていないものは直接光があたるので、酸化しやすいです。油の光による酸化については太陽による直射日光はもちろん、室内の照明程度でも酸化の原因となるようです。開封後はキチンと冷蔵庫に入れておくようにしましょう。 
  • α-リノレン酸は特に熱に弱い油だ言われており、熱を加えることでα-リノレン酸としての効果がなくなってしまうため、特に揚げ物など長時間の高温調理には向いていないです。ただし、家庭料理程度であれば、キャノーラ油など、他の油と比べてそれほど酸化するものではないとの研究論文(盛岡短期大学)もあります。《参考URL》 エゴマ油を揚げ油として利用するための検討

    ただ、風味の点においてα-リノレン酸独特の生臭さが気になるとのことです。この研究論文からはえごま油が特に熱に弱いということはなく、長時間の調理でなければ問題はないようです。

亜麻仁油、えごま油にはα-リノレン酸が豊富

最初にも書きましたが、亜麻仁油、えごま油にはα-リノレン酸が豊富に含まれています。

α-リノレン酸とは植物が生成する油で、植物から抽出される油に含まれている有機化合物です。

人間の体内では合成することのできないため、必須脂肪酸です。 体内でEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)に変換され、体に色々と良い効果があります。

ただし、α-リノレン酸から代謝され最終物質であるDHAへの変換効率は10~15%程度しかありません。そのため、単純にEPAやDHAの摂取を主目的とするのであれば、直接、魚油を取る方が効率的です。

α-リノレン酸はえごま油、亜麻仁油、キャノーラ油、大豆油などの植物油に含まれていますが、その中でも特にえごま油と亜麻仁油はその60%程度がα-リノレン酸で構成されており、かなり多く含んでいます。

α-リノレン酸の効能

α-リノレン酸には体にとって色々な良い効果があります。以下に代表的なものを説明します。

アレルギー抑制効果

現代人の食物アレルギーやアトピーの原因はリノール酸を代表とするオメガ-6系の油の取り過ぎが一因だと言われています。

リノール酸は体内で生成することができないことから、必須脂肪酸のひとつであり、血中コレステロール値や中性脂肪値を低下させる働きがある一方、その代謝の過程で生成される悪性エイコサノイドという物質がアレルギー促進、炎症促進、血栓促進作用があります。

現代の日本人は食生活の欧米化により、リノール酸を過剰に摂取しすぎており、それがアレルギー体質の人が多くなった一因だと言われています。 逆にα-リノレン酸には、リノール酸に対して反作用的に働き、アレルギー抑制、炎症抑制、血栓抑制作用の効果があります。

また、α-リノレン酸を摂取することで、リノール酸が悪性エイコサノイドに代謝することを抑制する効果もあります。

リノール酸とα-リノレン酸の摂取比率は4:1(1:1という説もある)が理想的と言われており、リノール酸の摂取量を減らす代わりにα-リノレン酸を取るように心がけることが大切です。

血液さらさら効果

α-リノレン酸から変換したEPAやDHAには、血液をさらさらにする効果があり、動脈硬化や心筋梗塞の予防になります。

また、DHAは血液脳関門を通過することでき、脳内に入ることで神経伝達を活性化し、脳を元気にする効果があります。昔から魚の目玉を食べると賢くなると言われているのが、このことです。

最近の研究では、DHAには脳の老化を抑制する効果やアルツハイマー型認知症にも効果(ボケ防止)もあることが分かってきており、さらに話題になっております。(このボケ防止が話題になってえごま油が品薄状態です)

アンチエイジング効果

α-リノレン酸は、細胞膜を構成する必須脂肪酸であることから、α-リノレン酸が不足していると細胞膜がしっかりと構成されず、体中の細胞が老化する原因となります。 また、α-リノレン酸はコラーゲンの分泌にも関わっており、「小じわ」対策や美肌にも効果があります。 α-リノレン酸をしっかりと摂取することで、丈夫な細胞膜が構成され、アンチエイジングに繋がります。

抗うつ効果

うつ病患者の方を対象にして、α-リノレン酸やEPA、DHAなどのオメガ-3系の脂肪酸の蓄積量を調べた調査では、健常者に比べ、うつ病患者の方が明らかに蓄積量が少ないとの結果が出ています。

このため、α-リノレン酸を摂取することで、うつを予防する作用があると考えられております。また、女性が妊娠、出産の時期には、α-リノレン酸、EPA、DHAが減少することでうつ病になる人が多いと言われており、特に意識して摂取することが推奨されています。

ダイエットにも効果

α-リノレン酸にはリパーゼという脂肪を分解する酵素の働きを活性化して、脂肪燃焼を促進する効果があります。

ダイエットに油は天敵と思われがちですが、朝にスプーン半分ほどの亜麻仁油(えごま油)を取ることで、その日一日の脂肪の燃焼量が劇的に変わります。 ダイエット中の方は、お試しください。

その他の効果

α-リノレン酸には、上記以外にもコレステロールを低下させたり、腸内環境を整えたりと様々な効果が期待できます。

まとめ

このようにアトピー、アレルギー対策以外にも色々と体によい効果がある亜麻仁油とえごま油ですが、どちらを選んでも健康にとてもよい油です。

どちらを選ぶかは好みの問題ですので、両方を試してみて、合う方を選んでください。

個人的には、どちらかと言えば、えごま油の方が癖がなく食べやすいです。亜麻仁油は色が黄色のため、調理に使うとその色がかなり目立ちます。

また、えごまに比べて亜麻仁の方が若干、苦く、魚臭い匂いも強く感じます。 早くえごま油の品不足が解消されてほしいのですが、思っていたより長引いておいり、ここ最近はずっと亜麻仁油を使っています。

P.S. やっと最近になってえごま油が安くなってきました。去年に比べるとまだ若干高いのですが、900円/本 程度まで下がってきたので、今回は4本セット購入して買いだめしておきました。

 

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