犬も人と同じで高齢になってくると、体のあちこちが悪くなってきます。
特に近年、急激に犬、猫の寿命が延びたため、年を取って色々な病気になるワンちゃんが多くなっており、年々ペットの医療費が上がってきております。
犬がかかりやすい病気としてはガン、糖尿病、心臓病の他に、目の病気として白内障、緑内障などがあります。
特に目の病気については、少しぐらい調子が悪くても飼い主が気づき難く、気づいたときにはかなりの重症ということも多いそうです。
前回、犬の目の病気として、緑内障について記事を書いたことがあるのですが、今回、白内障について記事にしてみて、眼病予防の大切さを思い出しました。
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高齢犬に多くなる白内障とはどんな病気なのか
犬の白内障には主に老化によるものと、若年性の2つがあるのですが、若い時に症状が発症した場合、そのほとんどは遺伝的な要因であると言われています。
白内障とは、一般的には、老化にともなって見られる病気であり、高齢犬と言われる7~8歳以上で多くなります。その他にも糖尿病や目の外傷などによっても発症することもあります。
白内障をそのままにしておくと、ぶどう膜炎や緑内障、網膜剥離などに進行して、失明する危険がある、とても怖い病気です。
症状が軽度の場合や水晶体の奥の方が濁っている場合には、ワンちゃんも自覚症状がほとんどなく、飼い主も気づき難いため、早期発見するのが難しいのです。
元々、犬は近眼であり、視力が多少低下しても普段の生活には支障がないため、普段から愛犬の様子を注意していないと発見しにくいためです。
白内障の治療法は基本的に外科手術
犬の白内障の進行はとても早いので、早期発見、早期治療がとても重要になってきます。
治療の初期では、まず内服薬や点眼薬などを組み合わせて、炎症を抑えて、痛みを和らげる治療を行います。
ただ、白内障の場合、お薬など内科的な治療では視力を取り戻すことができません。一旦、白くなった水晶体を元に戻すことができないからです。このため、視力回復には基本的に外科手術が必要となってきます。
人の白内障の治療と同じく、犬の白内障でも手術によって、白く濁った水晶体部分を取り除き、人工レンズを入れるのが一般的です。
犬、猫の白内障の手術を行っている動物病院のWebページを色々と調査したのですが、それによると、
- 白内障の手術自体の成功率は90%程度もある。
- 白内障の進行具合にもよりますが、早期の場合には視力が回復する可能性はかなり高い。
白内障の手術について、最近では人の場合には、日帰り手術もできるほど、気軽に手術を受けれるようになってきています。
実際、うちの親や祖母も手術を受けていたので、ある程度、気軽に手術できるイメージがありました。
ただ、ネットで色々と調べていると、犬、猫については、まだまだハードルがかなり高い手術のようです。白内障の手術について調べた内容を、簡単に以下にまとめてみました。
- 犬の眼の構造から、人に比べて手術の難易度がかなり高い。
- 手術費用がとても高額である。(人のように健康保険がないため、全額自己負担となる)
- そもそも手術できる獣医さん、施設が少ない。
- 老齢犬の場合、手術での全身麻酔に耐えれるか心配。手術するのは、10歳ぐらいまでがほとんどらしい。
ペットの白内障の手術費用はとても高額
そもそも、眼科を専門に扱う獣医さんがとても少なく、白内障の手術設備を完備している動物病院もほとんどありません。
最近になって、ようやくペットの高度医療設備を備えた動物病院もチラホラと出来てきましたが、手術設備としての顕微鏡などもかなり高額であり、一般の獣医さんではとても手術設備を整えることができません。
特に、地方都市などでは白内障の手術ができる病院を探すだけでも、大変なのではないでしょうか。
先にも書きましたが、犬の白内障の手術の成功率が比較的高いです。
ただ、犬の場合、眼の構造上、手術後に炎症がひどくなるケースも多く、合併症を引き起こすことが多いみたいです。そのため、術後の経過を見るために入院も長くなります。
このような状況から、当然、手術費用もかなり高額なものになります。(全額自己負担)
いくつかの動物病院が白内障の手術費用を公表していたのですが、どの病院でもとても高額でした。また、片方の眼だけで20~50万円と、値段設定にかなりの幅がありました。
病院によっては両目の手術を行うと、100万円以上も必要となります。
実際、犬の白内障についてネットで調べていて、愛犬のキャバリアの白内障の治療費に100万円近くかかったという人もいました。
この高額な治療費、どう思いますか?100万円とまではいかなくても、50万でもかなり高額です。正直なところ、とても高い!です。
ただ、眼の手術をするには、獣医さんもかなりの技術が必要でしょうし、設備にもお金がかかることを思えば、それぐらいはするだろうとも思えます。
飼い主であれば皆、愛犬の視力を取り戻してあげたいという気持ちはあると思いますが、50万~100万円ともなると、それだけの金額を出せるのか、微妙なところです。
ペット保険の代りにやっている「もなか」貯金も、まだそんなには貯まっていないです。
そのため、高齢のワンちゃんの場合には、手術をあきらめる飼い主さんも多いというのも納得です。
こんな高額な治療費を見せられると、やっぱりペット保険には入っていた方が良いのかと、考えさせられますね。
《参考記事》 ペット保険各社の項目別ランキングとおすすめのペット保険
全身麻酔による危険性も大きい
高齢犬の場合には、手術費用の他にも、手術の際の全身麻酔による危険性も高くなります。
そのため、高齢犬では、あえて手術はせず、病気の進行を遅らせる点眼薬での治療をすることも多いのです。
点眼薬「Nアセテルカルノシン」は白内障に効果がある?
白内障についてネットで調べていると、「Nアセテルカルノシン」という点眼薬が、白内障にとても効果があるという宣伝というか、ブログがやたらと出てきます。
なんでも、ロシア人のマーク・バビザエフ博士という人が開発したものらしく、アメリカで特許を取っているとあります。
今のところ、白内障は手術でしか視力を回復することができないのですが、この点眼薬を使うことで手術をせずに視力を取り戻すことができるとありました。
もし、これが本当なら手術に比べて、費用も劇的に安く済みます。しかも副作用もほとんどない、らしいです。。。
ただ、この商品、調べれば、調べるほど、胡散臭いです。
そもそも、日本では認可されていないお薬なので、完全に自己責任です。
2010年から販売されているのですが、それほど劇的なお薬にも関わらず、眼科のお医者さんはまったく見向きもしていないのです。
もし、使おうかと思っている人がいたら、自己責任であることを認識して使ってください。
《参考》 白内障治療薬CAN-Cの口コミ
白内障の早期発見には普段からの注意が大切
白内障に限らないのですが、眼の病気では、早期発見、早期治療が一番効果的です。
特に犬の白内障の場合、進行が早いので、何かおかしいなと思ったらすぐに病院に行くことが大切です。
ただ、ペットの場合、少しぐらい目の調子が悪くても、自分からしゃべってくれることもなく、ついつい見逃しがちになります。
白内障の場合、黒目が白く濁ってくるので、比較的わかりやすいのです。ただ、それ以外にも愛犬、愛猫の行動やしぐさに注意していれば、ちょっとした変化にもすぐに気付けます。
以下の点に注意してみて下さい。特に7歳以上の高齢犬では要注意です。
- 眼の黒目の部分が白く濁って見える。
- ペットが眼を気にして、しきりに掻いたり、こすったりする。
- 散歩に行きたがらない、走らなくなった、など活発に運動しなくなった。
- 夕方の散歩や薄暗いところで、物にぶつかったりする。
- ちょっとした段差でつまずいたり、階段を上り下りしなくなった。
特に犬の目は元々、人に比べて薄暗いところでもよく見えるようにできています。その犬が暗いところが苦手になるということは、目に何か異常があるということです。
《参考記事》 夜に写真を撮ると犬の目が緑色に光るわけ - フラッシュは禁止
白内障になりやすい犬種
理由は分からないのですが、統計的に白内障に罹りやすい犬種があります。以下の犬種の場合には、要注意です。
- トイ・プードル
- ビーグル
- 柴犬
- キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
- ゴールデン・レトリーバー
- シー・ズー
- ミニチュア・シュナウザー
- ミニチュア・ダックスフント
- パグ
- ヨークシャー・テリア
白内障に間違えられやすい核硬化症
実は、目が白くなる病気は、白内障だけではありません。
もう一つ、水晶体の老化によって起こる、「核硬化症」という病気があります。
通常、細胞が古くなると、新しい細胞と入れ替わることで新陳代謝が行われるのですが、水晶体は目の中にあるため、古い細胞が外に排出されず、目の中に押し込まれていく現象が起きます。
この時、この古い細胞が年輪のように育っていき、白っぽく見えて白内障とよく間違われるのだそうです。
この「核硬化症」では視力を失うことはないのですが、薄暗いところで物が見えにくくなることがあります。この病気に関して、通常は治療の必要はありません。
ただ、素人判断は危険なため、何か異常に気付いたら、必ず獣医さんに相談するようにしましょう。
まとめ
今回、犬の白内障について突っ込んで調べてみたのですが、その治療費の高額さにびっくりでした。
白内障といえば、人の場合、高齢になれば誰でもかかるようなイメージです。犬の場合でも、決して珍しい病気ではありません。
その治療にこれほどのお金がかかるとは、思ってもいませんでした。
特にうちの「もなか」は柴犬ということもあり、眼の病気には要注意な犬種です。年齢的にも5歳と、中年期に入っているので、そろそろ、病気にも気をつけないといけない年齢です。
私自身、目はかなり弱い方なので、普段からサプリメントを愛用しているのですが、そろそろ、眼病予防として、「もなか」にもサプリが必要なのかもしれません。
《参考記事》 気になる症状別に犬用サプリのおすすめ品をピックアップ