昔から、ファブリーズは危険という噂話はたまに耳にしていたのですが、我が家ではこの手の製品は、ほとんど使っていなかったので、気にもしていませんでした。
ただ、愛犬の「もなか」を飼っていることもあり、この手の話については注意するようにしています。
また、この前から家に「布製品の消臭・除菌ミスト DESYU(デシュー)」という消臭剤があったので、「大丈夫かな」と、少し気にはなっていました。
そんなところに、つい最近、キュレーションサイトで消臭剤がペットに与える影響について、記事になっていたので、これは「もなか」のためにも調査した方がよいかと、今回、少し突っ込んで調べてみました。
そもそも、ファブリーズはどんな商品なのか
テレビでもコマーシャルがバンバン流れているので、今更どんな商品なのか、説明するまでもないと思いますが、元々、布製品についた嫌な臭いを消臭してくれる商品です。ただ、今では、部屋置き用や車用などのシリーズものもあります。
アマゾンの評価をみてもかなり高評価のようです。
ファブリーズは、P&Gというアメリカの超メジャーな会社のブランドであり、あれだけ毎日のようにコマーシャルで洗脳されると、さすがに使っている人も多く、常に家の中でシュシュッしている人も多いのではないでしょうか。
特にペットを飼っている家庭では、種類によってペット臭がキツイので、その対策として使っている人も多いみたいです。
ちなみに、ファブリーズは、英語で「布」を表すファブリック(fabric)と「そよ風」を表すブリーズ(breeze)の造語らしいです。
家庭用の一般的な消臭剤の場合、日本の法律ではその成分を公開する義務はなく、その詳細については良くわからないです。ただ、P&Gのホームページではファブリーズの成分について、以下のように紹介されていました。
成分 働き トウモロコシ
由来消臭成分トウモロコシ生まれの有効成分で、ニオイのもとの分子をとり込み、消臭します。 除菌成分
(有機系)Quat(クウォット)。特定の除菌成分の総称です。このタイプの除菌成分の安全性は広く認められており、化粧品や薬用石鹸などに使用されています。
有機酸。野菜や果物の酸と同じ成分が、Quat(クウォット)の効果を高めるために配合されています。水溶性凝集成分 高分子ポリマーの一種。ハウスダストをまとめて固め、空気中に舞い上がりにくくします。 香料 ポリエチレンとナイロンの多層構造 水 有効成分をやさしく布地に浸透させ、ニオイのもとをつかまえるのを助けます。
引用:Q.ファブリーズの主な成分は?ファブリーズのサイトが変わって成分表を見つけることができなくなりました。。。
この成分表の中で、健康上、一番怪しいのが除菌成分となっている「Quat」という成分です。
問題のQuat(第4級アンモニウム化合物)とは、どんな成分なのか
Quatというのは、陽イオン界面活性剤のことらしく、一般的には「逆性石けん」とも言われているものです。
石けんという名前ですが、洗浄力はあまりありません。一般的な石鹸では、水に溶けるとマイナスに帯電するのですが、このQuatはプラスに帯電することから「逆性石けん」と言われています。
この「逆性石けん」になぜ抗菌作用があるかというと、「逆性石けん」はプラスに帯電しているので、マイナスに帯電している細菌やカビを吸着するのです。そして、この吸着によって細菌やカビの細胞構造を破壊して弱らせるため、殺菌する作用があるのです。
このため、細菌とは構造が違うウィルスでは、効果がないものが多いのですが、ファブリーズの公式ページにも「ノロウィルス」や「ロタウィルス」は除菌の対象外とされています。ただし、ウィルスの中でもインフルエンザなどのエンベロープ(周りに脂質性の膜)を持っているタイプのウィルスには効果があるようです。
この「逆性石けん」ですが、一般的には、「ベンザルコニウム塩化物」、「ベンゼトニウム塩化物」などの化合物が有名らしく、病院などでも手術器具などの消毒に良く使われるものみたいです。
《参考ページ》ヨシダ製薬 第四級アンモニウム塩
上記のヨシダ製薬のページによると、副作用としての毒性は低いが、発疹など過敏症状があらわれることがある、とされています。
第4級アンモニウム化合物の副作用
Quatとは病院でも消毒剤として一般的使われているもので、それほど危険なものではなさそうです。
一方で、ネットで調べてみると、化学物質過敏症などの人の場合、ファブリーズに反応して症状が出ることがよくあるとありました。週刊新潮がネタ元らしいです。
確かに、ファブリーズは化学物質を空気中にシュシュッと拡散させるため、それを吸い込むと、肺の中や鼻の粘膜に化学物質が付着して、過敏性の人はアレルギー症状を引き起こすのでしょう。
その他にも、ネットの噂では、「多頭飼いのペットたちが肝臓疾患になった」、「ペット用のマットを消臭したらペットが吐いた」など、色々と拡散されています。
ただ、どれをみても科学的根拠が乏しく、噂話程度にしか思えませんでした。
そこで、「第4級アンモニウム化合物」の毒性について調べたところ、以下のような論文がありました。
《参考》 市販家庭用消臭除菌剤に配合される4級アンモニウム化合物の マウス新生仔および成獣における一般毒性指標に及ぼす影響
これによると、マウス実験によって、一般に家庭用として市販されている消臭剤に入っている第4級アンモニウム化合物には、毒性があると結論付けています。ただ、実験はマウス新生仔にQuatを1.25 mg/kg、毎日連続して経口させると死亡率の増加傾向が見られたとあるので、ちょっとやり過ぎな感じです。
仮に、「もなか」の場合だと9kgぐらいなので、11.25mgのファブリーズを毎日飲むと健康を害することになります。逆にこれだけ毎日飲んでも、死亡率の増加傾向がみられる程度なのです。
ファブリーズは布製品に吹き付けるタイプの商品のため、これだけの量を毎日摂取することは到底無理だと思います。
では、なぜ、ファブリーズでペットが吐いたなど、色々なウワサが広がっているのでしょうか?
ファブリーズが危険と噂される原因は?
今回、ファブリーズについて調べてみると、いつものとおり、何の根拠も示さず、同じような内容の記事がたくさんあります。おそらく、最初に誰かが書いたものを、転載しているだけのようです。
ただ、いくつか元ネタになっている本や雑誌はあるようです。
その中で、大元らしいのが、「ファブリーズはいらない」という本で、2009年に発売されていました。著者は「買ってはいけない」で有名な渡辺雄二さんで、同じ論調で色々と指摘されているようです。(本を買っていないので詳細は知りません)
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まあ、「買ってはいけない」はあちこちからかなり叩かれているので、どんなことが書いてあるのか、アマゾンの口コミだけでも大体わかりますが。。。
ただ、かなり古くからファブリーズを問題視している人がいるのも確かです。先ほどの化学物質過敏症の人の症例などでは、かなり昔にお医者さんが警鐘を鳴らしておられます。
《参考》 毒多ぁ亀山の小児科日誌
まとめ
今回、色々とファブリーズについて調べた結果、私の結論としては、そんなに問題視しなくてもよいのでは?という感想です。
どんな食べ物や化学成分であっても、ある一定量を超えて摂取すると、私たち動物にとっては毒となります。
例えば、私たちの体にとって、とても大切な水や塩でさえ、摂りすぎると中毒になり、最悪は死亡してしまいます。
この当たり前のことを、ご存じない方が多すぎるのではないかと思います。どんな成分でも、それ自体に良い、悪いの区別はなく、摂りすぎなければ、とても効果的なものはたくさんあるのです。
要は使い方を間違えれば、どんな便利なものであっても、危険なものになるのです。
また、化学物質に対して過敏症の人は、ちょっとした化学物質でも症状が出てしまうことがあります。それを、取り立ててファブリーズが危険だというのは、ちょっと言い過ぎなのではないかと思います。
それなら、金属アレルギーの人がいるからといって、金属で製品を作ることが「悪」というのと、同じことかと思います。
ペットにとっては、ファブリーズなどの消臭剤より、ノミ、ダニのお薬の方がよっぽど危険なのでないかと思います。実際に副作用が出ている例もたくさんあります。
《参考記事》 犬のノミ、ダニの薬の副作用にご注意 – 愛犬に使う前にチェック
ただ、個人的にはファブリーズは使わないでしょう。
なぜなら、私は消臭効果にはとても興味はあるのですが、除菌についてはそれほど興味がないからです。なので、あえてファブリーズを使う意味がまったくありません。
消臭だけなら、他にも良い商品はいっぱいあります。
最近の日本人は、除菌、除菌と言いすぎているように思えて仕方がないです。潔癖症の人たちをみていると、そちらの方が病気ではないかと思ってしまいます。
菌には人間にとって、良い菌もあれば、悪い菌も沢山あります。そもそも、人間の腸内は細菌だらけです。その細菌たちと共生することで、人間はうまく食べ物を消化しているのです。そんな中で悪い菌だけを、都合よく除菌するなんてことはできないです。
また、無菌状態で育った最近の子供たちにアレルギー、喘息、アトピーが異常に多いのはどうしてなのでしょうか。
《参考記事》 昔はアトピー性皮膚炎という病気はなかった
何事もやり過ぎはよくないです。我々動物には、ある程度の細菌は必要なのだと思えます。
追記:最近、ペット用の消臭剤でとして、「カンファペット」という商品を見つけました。この商品は安全であることを最大の売りとしている商品です。しかも、消臭効果、消毒効果ともに優れており、とてもオススメです。あのノロウィルスさえ撃退でできるのです。(ファブリーズではノロウィルスに対して、ほとんど除菌効果はありません。)