悪質なブリーダー対策として、環境省が年間の母犬の繁殖回数を制限へ

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環境省が悪質なブリーダー対策として、母犬の年間繁殖回数を制限する方針で調整に入っているそうです。

《参考記事》環境省が「犬の繁殖回数制限」へ「悪質ブリーダー」を排除できるか? 弁護士に聞いた

子犬たち犬の妊娠期間はかなり短く、交配してから9週間程度、約60日で出産します。このため、次々と妊娠、出産を繰り返すパピーミル(子犬工場、悪質ブリーダー)が横行している現状に対処するためです。

母犬にとって、妊娠期にはお腹の中で子犬を育てるために、かなりの体力が必要です。次々と妊娠、出産を繰り返すことで、母犬はやせ細り体がボロボロになっていきます。パピーミルたちにとって、母犬は工場と同じであり、2,3年、子犬を作り続けて、出産できないような体になると、使い捨て(殺処分)にすることが問題となっています。

今の法律でも、微妙な感じですが、一応は規制はされており、ブリーダーに対して母体に過度な負担がかかる繁殖は禁止とあります。ただ、具体的な数値が何も決められておらず、規制の効力は全くないのが実情です。

今の法律の抜粋:
「みだりに繁殖させることにより母体に過度な負担がかかることを避け、飼養施設の構造及び規模、職員数等を踏まえて、その繁殖の回数を適切なものとし、必要に応じ繁殖を制限するための措置を講じること。」

子犬海外では、そもそもペットショップで子犬の生体販売が禁止されているところもあります。つい最近もアメリカのフェニックス市が「ペットショップでは保護施設で保護されている犬しか売ってはいけない」という法律を制定した件が話題になっていました。

《参考記事》  犬の殺処分を減らすためには、ペットショップで子犬は買わない

アメリカでは、フェニックス市以外でもすでに60ぐらいの都市が同じような法律を制定して、パピーミルの収入源を絶つことで犬の愛護を進めています。

ただ、国立国会図書館が最近のイギリス、ドイツ、アメリカの殺処分の実態を調べた報告書によると、各国ともに色々と問題はあるようです。

《参考記事》 諸外国における犬猫殺処分をめぐる状況

  • ドイツでは有名なティアハイムという保護施設が全国に500箇所以上もあります。基本的にティアハイムでは殺処分はされない方針なのですが、その一方、狩猟動物を保護する目的で野良犬、野良猫の駆除が認められており、一説には年間で犬が6万5千頭も殺されているそうです。
  • イギリスでも、一部の犬、猫たちは殺処分されており、保護された内の1割程度は処分されているようです。
  • 実は、アメリカは殺処分大国であり、今でも年間で270万頭もの犬、猫が殺処分されています。

これらの世界の状況からすると、日本だけ法整備が遅れているというわけではなさそうです。

日本でも殺処分ゼロ運動がさかんに言われるようになり、犬の殺処分数自体は2014年で2万8千頭と、10年前の20万頭に比べると劇的に減ってはいます。殺処分数で言えば、今の日本が一番少ないのかもしれません。

ただ、保護施設に預けられた犬たちの内、7割もが殺処分されている現実があります。日本にディアハイムのような保護施設がもっとあれば、この殺処分数はもっと減らせるのではないかと思います。

まとめ

トイプードル個人的には、アメリカの一部の都市のように、ペットショップで子犬を売ることを止めない限り、ペットの殺処分はなくならないのでは、と考えています。

残念なことに現代の日本人には、ペットに対する愛護精神などまったくない、自分勝手な人がたくさんいます。そんな人たちは玩具のように子犬を欲しがりますが、少しでも犬が自分の思うように育ってくれないと、簡単に捨ててしまいます。

いくらがんばって保護しても、その一方でペットショップでどんどん子犬を販売していれば、追いつかないのも当たり前です。

今回の、ブリーダー規制がどれほどの効果があるのか、わかりません。それでも、少しずつでも良くしようとする動きがあることは、素直に歓迎したいです。