犬のひげに白髪が混ざっている、毛色の退色は老化の始まり

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ひげの白髪この前、気づいたのですが、「もなか」の口元のひげが何本か白くなっていました。家族に聞くと、少し前から白かったみたいです。

「もなか」は、もうすぐ4歳で、人間の年齢で言えば、まだ30歳ぐらいです。白髪が生えるには少し早すぎるように思います。体毛については、白髪らしきものはまだなく、毛の色も特に薄くはなっていないようです。

といっても、黒柴は元々部分的に白いので、少しぐらい白髪が混ざってもよくわからないかもしれません。

犬の場合、人と違って老化はひげから始まるらしいのですが、少し調査してみました。

犬も年を取ると白髪になる

人と同じように犬の場合も年を取ると、白髪が少しずつ生えてきます。

一般的に犬の老化は、顔から始まると言われており、白髪も最初は顔から生え始めます。口元や目の周りの被毛や、まつげ、ひげが白くなり始めたら、老化が始まってきた証拠になります。

人でも若白髪の人がいるように、犬も白髪が生え始める時期にはかなり個体差があるようです。早い犬で3、4歳ぐらいから白髪が生えてくるようですが、一般的には7歳以降がシニア犬と言われる世代であり、ほとんどの犬で白髪がチラホラと目立つようになります。

人間の年齢に換算すると、40、50歳ぐらいなので、年齢的にも人とよく似ています。

また、人の場合では年を取ると、徐々に白髪が増え、最終的に髪の毛がすべて白髪になってしまうことが多いのですが、犬の場合、体毛が真っ白になるというより、毛の色素が抜けていき、全体的に毛色が薄くなっていきます。

犬種によっても違いがあり、トイプードルなどは、特に年齢とともに毛並が薄くなり易い犬種です。逆に、元々白い犬(紀州犬、白柴、パピヨンなど)では元々色素が少ない、あるいは持っていないため、変化が分かり難いです。

ひげ、毛色はメラニン色素で決まる

体毛の色の元となっているのは、メラニン色素です。

メラニンは犬や人間のような動物だけでなく、植物などでも作られる色素で、ユーメラニン(黒色)とフェオメラニン(淡い黄色から赤色)の2種類があります。

この2つのメラニンが含まれている比率の違いにより、被毛の色が決まってきます。

「もなか」のように真っ黒な犬の場合、ほとんどがユーメラニンとなります。フェオメラニンの比率が多くなってくると、茶色~赤、金色と色が明るくなってきます。

メラニンと言えば、女性の天敵であるシミ、ソバカスの原因となる物質でもあります。嫌われ者のメラニンですが、実は、メラニンはすごく安定した物質であり、紫外線を吸収する作用があります。メラニン色素があることで、紫外線による皮膚の炎症を防止し、皮膚細胞が傷むのを防ぐことができているのです。

白髪、被毛の退色はメラニン色素の減少が原因

もなか 白髪や退色の原因は、毛の色の元となるメラニン色素が不足しているからです。

メラニン色素が少なくなり、被毛やひげの色が薄くなる原因を大きく分けると、以下の3つのパターンがあります。

  • メラニン色素を作る組織(メラノサイト)の機能低下
  • メラニン色素を作るための材料であるチロシンの不足
  • 被毛を漂白する過酸化水素水の蓄積

メラニン色素を作る組織(メラノサイト)の機能低下

メラニン色素を毛根にある、メラノサイトという色素細胞で作られます。

実は、毛が生え始めたときには、まだメラニン色素が含まれておらず、白髪です。その後、毛が成長するにしたがって、メラノサイトでメラミン色素が生成されることで、毛に色が付いていきます。

このとき、何らかの原因でメラノサイトの働きが弱くなってしまうと、メラニン色素が生成されなくなり、白髪のままとなったり、毛色が退色する原因となります。

メラノサイトの働きが弱くなる原因としては、加齢の他にも下記のように様々なものがあります。

  • 加齢による老化 老化によって、メラニン生成に欠かせないチロシナーゼ酵素の生成量が減ることで、メラノサイトの機能が低下します。チロシナーゼとは、メラニン色素を作るときに必要な物質なのですが、老化によりその生成量が減ってきます。このため、メラニン色素をうまく作ることが出来なくなってしまいます。 白髪になる原因としては、チロシナーゼが充分に生成できないことが一番多いです。
  • 栄養不足 偏った食事によって体に必要なミネラルやアミノ酸、ビタミンなどが不足すると、メラノサイトの働きが低下します。特にミネラルとして、亜鉛、銅は、チロシナーゼが働くためには欠かせない栄養素です。
  • ストレス 過度なストレスがかかると、自律神経のバランスに乱れが生じます。自律神経は成長ホルモンの分泌や血液の流れなどをコントロールするため、自律神経が乱れると白髪の原因となります。
  • 皮膚病などの病気 皮膚病の他、胃腸疾患や甲状腺疾患といった病気では、白髪が増える場合があります。
  • 水分不足、血行不良 水分不足や血行不良になると、血液の循環が悪くなり、毛根に十分な栄養を運ぶことができなくなります。
  • 睡眠不足 メラニンを生成するための成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。睡眠不足になると、十分なホルモンが分泌されません。

老化の他にも、栄養不足やストレスによっても白髪、退色の原因となるので、気を付けてあげたいです。特に最近、毛色が薄くなってきたなと思ったら、ミネラル分が不足している可能性も高いです。

《参考記事》 換毛期の犬のおやつには亜鉛たっぷりな、かぼちゃの種がおすすめ

メラニン色素を作るための材料であるチロシンの不足

メラニン色素はメラノサイトで作られるのですが、チロシンという物質を材料に、チロシナーゼ酵素の作用によって生成されます。

当然、材料であるチロシンが不足すると、メラニン色素の生成量が減り、白髪、退色の原因となります。 チロシンは肉や魚、卵、乳製品など多くの食品に含まれており、犬に与えるなら、チーズ、ヨーグルト、納豆、煮干し、かぼちゃの種などがオススメです。特にかぼちゃの種には亜鉛も多く含まれており、体毛の退色対策としてワンちゃんのおやつにぴったりです。

チロシンはタンパク質と一緒にとると、吸収率が悪いとも言われているので、食事の間のおやつで摂取するとよいようです。 また、チロシンは神経伝達物質の原料ともなり、自律神経の調整を行う甲状腺ホルモンの材料にもなります。

人間では、チロシンを多く取ることで、うつ状態の改善にも効果があると言われています。

被毛を漂白する過酸化水素水の蓄積

過酸化水素水とは、オキシドールや漂白剤、髪の毛の脱色に使うブリーチ剤の主原料です。これが体に蓄積されることで白髪や体毛の退色の原因となります。

これは、過酸化水素水が多く蓄積されると、メラニン色素の合成を促すチロシナーゼ酵素を壊してしまうためです。チロシナーゼ酵素が減ってしまうことで、メラニン色素を作り出すことが出来なくなってしまいます。

なぜ、過酸化水素水が蓄積されるかというと、動物の体の中では、新しい毛を作り出すための毛包の活動によって日々活性酸素である過酸化水素水が発生しています。

若いときには、この過酸化水素水を分解して無害化するためのカタラーゼという酵素が体内にたくさんあるのですが、老化とともにこのカタラーゼ酵素が減ってきます。

そうなると、処理しきれなくなった過酸化水素水が蓄積されていくのです。

過酸化水素水をため込まないためには、体内でカタラーゼを増やす必要があります。カタラーゼは鉄分を中心とした酵素のため、レバーや赤身のお肉など鉄分を多く含む食品を摂る必要があります。

まとめ

まだまだ、子どもだと思っていた「もなか」ですが、白髪が生えていたことに少し驚いています。

犬の場合、1,2歳でもひげが白くなることもあるそうで、4歳ではそれほど珍しくないようです。

「もなか」の場合、食事にはいつも注意しているつもりなので、栄養不足というわけでもないと思います。

人間で言えば、中年に差し掛かってきたところなので、そろそろ老化が始まっているのかもしれません。

犬の寿命は15年程度と、人間に比べてかなり短いのですが、まだまだこの先10年以上もあり、健康で長生きしてもらうために、色々と気をつけていきたいと思います。

 

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