その「もなか」ですが、昔、避妊手術をするか、しないかで少し悩んだ時期もありました。ただ、結局、避妊手術はしませんでした。しない方がよいと考えたからです。
《参考記事》 犬の避妊手術は行った方がよいのか-手術による副作用にも注意が必要
昔も、同じようなテーマで記事を書いているのですが、今回、もう少し突っ込んで、犬の避妊手術について語ってみようと思います。
特に、今回は不妊手術は悪!という立場に立って、昨今の不妊手術は絶対必要という風潮に反論してみたいと思います。
まず、どのぐらいの犬、猫たちが避妊・去勢手術をしているのか
ペット保険大手のアニコム様の調査によると、犬の場合で6割~7割程度、猫の場合で8割以上が避妊、もしくは去勢手術を行っているようです。(たぶん、アニコムのペット保険に加入しているペットたちの統計です。)
《アニコム》 どうぶつkokusei調査 ⑤ ~ どうぶつの健康管理~
こんなにも多くのペットで、避妊・去勢手術を行っていることに、正直に驚きました。避妊手術をしていない「もなか」は少数派ということです。
ただ、アニコムの統計なので、どちらかというとお金持ちの方々の統計になります。前に犬の飼育費用を調査したときも、アニコムの調査結果はとびぬけて高額でした。
《参考記事》 犬の長寿化で生涯飼育費用が高騰、「もなか」で試算してみました
そのため、アニコムの場合、かなりの傾斜がかかった統計だと思うので、実状はもう少し違うとは思います。
それにしても、こんなにもたくさんのペットが手術しているとなると、不妊手術しない方が非国民な感じです。
改めて、不妊手術のメリットとデメリットを整理
不妊手術のメリット
- 避妊手術によって望まない妊娠を防げる
- メスの場合、幼いときに避妊手術を行うことで乳腺腫瘍になる確率を下げることができる。また、年を取ってから子宮蓄膿症にならない。
- ヒート時の出血やストレスから解放される
- 生殖活動に余計なエネルギーを使わないことで寿命が延びる
不妊手術のデメリット
- 卵巣や睾丸を摘出することで性ホルモンの分泌が無くなり、ホルモンバランスが崩れる
- 生殖活動に余計なエネルギーを使わないことで太りやすくなる
- 前立腺がん、骨肉種、甲状腺機能低下症などの病気になるリスクが大きくなる?
今回、改めてもう一度、よく調べてみたのですが、やはり、不妊手術によるデメリットも大きく、あえて必要のない不妊手術をしなくても良いのではとの結論に至りました。
そこで、メリットと言われる項目について、一つ一つ詳しく見ていきたいと思います。
避妊手術によって望まない妊娠を防げる
これは、多頭飼いの場合、特にメリットとなります。多頭飼いではどうしても、目が行き届かず、妊娠してしまう可能性が高くなるからです。特に親子や兄弟で交配すると、奇形児が生まれる可能性も高いです。
また、愛護センターに保護されている犬たちは、それ以上繁殖して子孫を増やさないように、強制的に不妊手術されてしまいます。これについては、ある程度仕方がないのかな、と思います。少し可哀そうですが、殺処分されるよりはよっぽどマシです。
ただし、「もなか」のように1頭だけで飼っている場合には、別にどうってことはありません。ヒート中の散歩のときだけ、少しオス犬に気を付けるだけです。散歩の時間をずらすなどで、簡単に対処できる問題です。
このためだけに不妊手術をしようとは、とても思わないです。
雌犬特有の病気になり難くなる
《参考記事》 犬の死亡原因のトップは「がん」-愛犬の延命治療はすべきか
「がん」といっても、別に乳腺腫瘍だけがすべてではありません。単純に犬の寿命が延びたことで、年を取ってから色んな「がん」にかかる犬たちが増えたためです。
確かに、避妊手術した方が、年を取ってから乳腺腫瘍や子宮蓄膿症になる確率は低くなるようです。これは単に統計データの結果のようで詳細な理由は良くわかっていないそうです。
では、そもそも、雌犬が乳腺腫瘍にかかる割合はどのぐらいか、ご存じでしょうか?
色々と調べてみたのですが、いろんなサイトで色んなことが書かれており、キチンとしたデータで話をしているサイトはごく少数でした。
中には、犬の腫瘍疾患の半分が乳腺腫瘍だというような、うそっぱいサイトもいくつかありました。(普通に考えて、これだけ不妊手術が流行っている中、そんな訳ないでしょう。)
そこで、いつもお世話になっており、一番信頼しているアニコム様の統計データをお借りします。
《アニコム》 保険金支払いデータを基にした 人気犬種における腫瘍疾患の 罹患状況の考察
この考察では、統計データが少なくなる13歳以上は考慮していないそうですが、まとめると以下になります。
- 犬の12歳以下での腫瘍疾患の罹患率は7.7%。年齢ともに腫瘍疾患の罹患率は上昇し、12歳でなんと19.4%にも。
- 乳腺腫瘍に限っての罹患率は、全体で1.6%、10歳での罹患率が3.8%と一番多い。
結果として、確かに犬の乳腺腫瘍の罹患率はそれなりに高く、12歳以下の犬の腫瘍疾患全体の約2割を占めています。ただし、一番多い10歳で3.8%、12歳での罹患率はたったの3%程度です。
それに比べて、12歳ではその他の「がん」に罹患している割合が16%もあるのです。
この結果から、別に乳腺腫瘍だけを予防していても、高齢時の「がん」予防としては十分でないことがわかります。
犬でも、人でも、年を取れば、老化、免疫力の低下によって「がん」に罹る率は高くなっていきます。それには、食事やストレス、肥満、運動、など色々な要素が絡み合ってきます。
たった3%ほど、がんになる確率を下げるためだけに、不妊手術をする必要が本当にあるのでしょうか?
そんなことをするより、普段から食事やストレスをコントロールして免疫力を上げる方がよっぽど、「がん」予防になります。
しかも、逆に不妊手術をした犬たちの方が、罹りやすくなる「がん」もあると言われています。これについて、残念ながら真偽のほどは、よくわかりませんでした。
ただ、不妊手術をしたワンちゃんでは、生殖器からのホルモン分泌がなくなるため、ホルモン異常や肥満などによって、病気になりやすくなると言われても、なんとなく納得できます。
ご自分のことで考えればわかると思いますが、乳がんにならないために、10代の内に卵巣を摘出した方がよいと言われても、そんな手術やりますか?しかも、将来、たった3%程度「がん」になる率が低くなるためだけにです。
成長期の終りといっても、体にとってとても重要なホルモンバランスが崩れるのですよ。どんなことが起こるのか、想像もできません。
ヒート時の出血やストレスから解放される
確かに、雌犬のヒート時の出血は面倒です。
「もなか」の場合も、やたらとマウントをしたがりますが、ただ、それだけです。別にそれほど困ることはありません。
都合よくヒート時のストレスから解放なんて言いますが、それが動物の自然な姿なのです。
なぜ、無理に解放してあげる必要があるのか、わかりません。別に犬がそれを望んでいるとはとても思えません。
また、去勢した方が犬が大人しくなるからと、去勢することが本当によいことなのでしょうか。単に飼い主にとって、それが都合がよいからだけなのではないでしょうか。
愛犬が大人しくできないのは、単にしつけができてないだけです。
生殖活動に余計なエネルギーを使わないことで寿命が延びる
これも、本当に寿命が延びるのか、統計的なデータを見つけることが出来ませんでした。
かなり疑っています。
キチンとした統計データもないのに、なぜこのようなことが実しやかに言われるのか、とても不思議です。
人の場合であれば、逆に精力的な人の方が長生きしそうな感じです。
まとめ
なぜかというと、今回、改めてペットの不妊手術について、調べてみたのですが、やはり、不妊のメリットばかりが異様に強調されているように感じました。基本、あまのじゃくな性格なので、このような風潮が大嫌いです。
しかも、雌犬の場合には、最初のヒートまでに必ず避妊手術をしましょう、的な論調です。
なので、今回はわざと、このような世の中の風潮に対して、不妊手術、否定派の立場から反対意見を書いてみました。
別に、誰かを洗脳しようなどという意図はまったくないです。ケースバイケースで、不妊手術が必要な場合も当然あると思います。みなさんも、ご自分でよく考えて、愛犬、愛猫に一番よい選択をしてあげてください。
もう一つ、敢えてちょっと、うがった見方をしてみます。
現在、日本での犬の飼育数は約1000万頭です。平均寿命が15年とすると毎年子犬が67万頭ぐらい増える計算です。その内の6割が不妊手術をすると、40万頭が毎年、不妊手術をしていることになります。
犬の不妊手術は約2~3万円程度なので、簡単に3万円とすると、犬の不妊手術の市場規模は約120億円となります。
これに猫の市場も加えると、200億円以上の規模になります。日本の動物病院の数が1万1000院ほどなので、1院あたり約182万円以上の収入源となっているはずです。
しかも、不妊手術は20~30分程度で終わる、とても簡単なものらしいです。獣医さんからすると魅力的な市場だと思いませんか。
この数字をみれば、ネットで獣医さんがやたらと避妊手術をすすめているのも納得しませんか。
最後に、こんなこと書いていますが、決して、すべての不妊手術を否定しているわけではございません、m(__)m