今朝の新聞に載っていたのですが、ペットの犬の治療ミスに対して、病院側に治療費、慰謝料として116万円の支払いを命じた判決が出たとありました。
《朝日新聞》 ペットの犬「誤投薬で腎不全に」 獣医師らに賠償命令
賠償金額は請求額の3分の1程度なのですが、裁判所が賠償を認めたということは、病院側に明確な医療ミスがあったのだと思います。
飼い主からすると、ペットの病気を治すために病院に連れて行ったのに、逆に治療ミスされたりしたらたまったものではありません。
それにしても116万円ともなれば、そこそこ大きな金額なのですが、慢性腎不全になったペットの治療費、訴訟の弁護士費用を考えると、全然足りなさそうではあります。
ちなみに、20年前のペット訴訟だと、裁判に勝っても3~5万円程度の賠償金でしかなかったらしいので、裁判所もペットの価値を大きく認めるようになったみたいです。
《参考》 急増するペットのトラブルや医療ミスによる訴訟。有効な予防策は?
また、この記事に関連して、動物医療ミス裁判について少し調べてみたのですが、まとまった資料というものはあまりなく、統計データのようなものはほとんど見つかりませんでした。
ただ、昔からペットの医療ミス裁判は色々とあるようで、実際に裁判所に訴える人もそれなりにいるようです。
2008年と少し古いレポートになるのですが、獣医師の立場からみた医療裁判に関する報告書があったので、ご紹介しておきます。
《日本獣医師会》 獣 医 療 裁 判 ~獣医師の視点から~
この報告によると、獣医師というのは、人の医療と違って診療も専門分化しておらず、医薬品や診断技術、治療法がまだまだ未整備であるとありました。また、カルテをはじめとして検査結果の管理、保存が出来ていないケースが多く、審理が長期化した例が多かったともありました。(2008年の話です。今は違うかもしれません。)
この報告のまとめでは、人の医療ほど充実した医療水準で発生する医療裁判と、環境がまだまだ未整備な獣医療現場で起こる医療裁判を同じに扱うことの妥当性を問いたいともありました。
確かに、一般的な動物病院の獣医さんでは予防医療がメインの仕事であり、そのほとんどが高度な医療技術をもっていない?のかもしれません。
だからといって、簡単に医療ミスを起こしてもよい理由にはならないはずです。
ペットの医療ミスでよく耳にする話として、ペットの避妊手術に失敗するケースが多くあるようで、ネットで調べていると、ちらほらと医療事故の話がありました。
下記は、現役の獣医師さんのブログのようですが、実際の現場でも色々と失敗例があるのがよく分かります。
《参考》 素朴な疑問・・猫の避妊手術で失敗したことはありますか?
獣医さんも人間である以上、失敗することもあると思います。ただ、ペットであっても、医療現場での失敗は許されないものです。
特に最近では、ペット医療も人と同じく高度医療化しており、飼い主の医療に対する期待も大きいです。その分、医療ミスについては厳しい評価になるのは仕方がないのかもしれません。
獣医師さんも、それだけの勉強をして開業医になっているのだから、単純なミスは起こさないようにしてほしいものです。