ここ最近、犬の平均寿命が急激に延びたことはとても良いことなのですが、その陰で、愛犬が年を取ってボケてしまったり、寝たきりになったり、重い病気を患ってしまったり、と色々とたいへんなケースが増えてきているようです。
特に犬が寝たきりになると、その介護がとても大変です。高齢者の方では、老犬の介護疲れで、自分自身の体調を崩してしまうケースも、良くあるそうです。
そんなときのために、老犬の面倒を見てくれる「老犬ホーム」という施設が増えてきているようです。
ただ、人の場合と違って、ペットにかかる費用はすべて自費になります。そのため、愛犬を老犬ホームに入所させるとなると、かなりの費用が必要では?と少し心配になります。
そこで、今回は、老犬ホームとは、どんなところなのか、入所するにはどのぐらい必要なのか、調査してみました。
老犬、老猫ホームが増えている理由
老犬ホームが増えている理由は当然、需要があるからですが、その理由として、以下の3つあります。
動物愛護管理法の改正によりペットの終生飼育を義務化
平成25年9月の法律改正により、ペットの飼い主に対してその動物が命を終えるまで、適切に飼育する責任があることが明記されました。
今までは、ペットが寝たきりになったからといって、気軽に保健所や動物愛護センターに犬を捨ててしまう飼い主もいたのですが、この法律改正により、保健所や動物愛護センターでは、正当な理由がない場合、ペットの引き取りを拒否できるようになりました。
この改正をきっかけに、老犬ホームが増えだしたと言われています。
ただ、今でも殺処分数が相当数あることを考えると、ペットを気軽に保健所に捨ててしまう人もまだまだたくさんいます。
特に病気持ちの老犬などは、里親に引き取られることはまずなく、殺処分されてしまいます。それが分かっていて、保健所に引き取ってもらおうとする人はいったいどんな人なのか。。。。
ペットの平均寿命が急激に延びたため
以前では考えられないほど、犬、猫が長生きするようになりました。
このため、人間の高齢者と同じようにペットの高齢化も進み、ボケたり、寝たきりになってしまうペットの数も激増しています。
《参考記事》 犬の年齢早見表(人に換算)と平均寿命が急激に延びた理由
飼い主が高齢となり、ペットを飼えなくなるケースが増えている
日本の社会が超高齢化社会となり、飼い主の方も高齢者が多くなってきています。
このため、飼い主が病気がちになって、ペットを飼えなくなるケースや、ペットの介護ができなくなるケースも多くなってきています。
特に最近は核家族化がどんどん進んでいるため、飼い主が亡くなった時、その家族がペットの世話をできないケースも増えてきています。
老犬ホームとは、どんなところ
老犬ホームというと、人間でいうところの老人ホームが思い浮かびますが、実際にはどんなところなのでしょうか。
老犬ホームの数は全国でどのぐらいある?
環境省の統計資料によると、平成27年4月時点で譲受飼養業 (老犬、老猫ホームのこと)として届け出を出している業者は全国で64あります。
《環境省の統計資料》 動物取扱業者の登録・届出状況(都道府県・指定都市)
正直、64施設と聞いて「少な!」と感じました。最近では、老犬ホームが増えてきたとよく記事に書かれていますが、たった64施設しかありません。
あの広い北海道でたった4つ、1つもない県がまだまだたくさんある状況です。
以前、テレビ番組の特集で「老犬ホーム」を取り扱っていた番組を見たことがあります。その中では、老犬ホームがなかなか増えない理由として、「飼い主の金銭面の負担がとても大きく、まだまだ利用者が少ない。経営として老犬ホームをやっていくのがとても難しい」と指摘されていました。
その番組の中でも、老犬ホームを経営している人たちが半分ボランティアみたいな活動をしている姿が描かれており、とても頭が下がる思いでした。
老犬ホームではどんなことをしてくれるのか
同じ老犬ホームといっても、個人が経営するものから、企業として大規模に経営しているものまで、その規模は様々です。
ネットで調べてみると、最近ではドッグランや動物病院、ペットホテルなどを併設しているところもかなりありました。ペットのトータル施設として経営しているケースも増えてきているようです。
老犬ホームでは、施設にあずかっている犬たちのお世話をしてくれるのですが、まだ元気があって歩けるワンちゃんの場合は、毎日のお散歩や食事の世話など、普通のペットホテルと同じようなサービスが受けられます。
また、寝たきりや重い病気のワンちゃんの場合には、スタッフによっておむつ、食事の世話から床ずれケアまで、身の回りのお世話をしてくれます。
基本的に、やってもらうことは、人間の老人ホームとあまり変わりがありません。
特に老犬ホームでは病気のワンちゃんも多いため、専属の病院と契約しているケースがほとんどで、病気やケガへの対応もばっちりです。
老犬ホームの料金はそれなりに高い
気になる料金ですが、これは施設によって実に様々です。
たいていの老犬ホームでは「小型犬」、「中型犬」、「大型犬」と犬の大きさで料金体系が違い、大型になるほど料金が高くなります。また、年単位での契約か、ショートステイなのかによっても料金が変わります。
ざっと調べてみた感じ、小型犬で3万円/月、36万円/年、程度のところが多いですが、中には50万円~100万円/年というところまで、様々でした。
基本料金以外にも、初期費用として数万~20万円程度が必要なところがほとんどです。また、病気のときの治療費として数万円を事前に預けておく必要もあります。
年単位の料金については、預ける年数が増えてくると割引してくれるところが多いですが、終身での一括払いだと100万円以上というのが相場のようです。
愛犬を終身で預けるとなると、100万円以上は必要になるわけですが、この料金についてどう感じますか?
一般的な感覚では、少し高く感じますが、介護を伴うような犬、猫を預かるとなると、スタッフの負担が格段に増えるので、これでもかなり安い方ではないかと思います。
ただ、これだけの料金をペットのために出せる人となると、やはり限られてくるのではないでしょうか。
老犬ホームの利用には条件があるのか
老犬ホームによって、利用の条件はさまざまです。
基本的に老犬を扱うホームなので、寝たきりや痴ほう症であっても引き受けてもらえます。ただし、年齢での制限を設けているところが多いです。特に終身で一括料金の場合、10歳以上に限るといった基準があったります。
まずは、気になる老犬ホームがあれば、ホームページで確認してみましょう。
まとめ
飼い主として、老犬ホームに愛犬を預けるというのは、とてもつらいことだと思います。
一応、「もなか」が寝たきりになってもキチンと世話をしてあげる覚悟はありますが、自分自身が高齢になった場合を考えると、世話をするのがキツイだろうなとも思います。
特に大型犬になると、その体重が20Kg以上にもなるので、寝たきりの世話はかなり大変だそうです。老夫婦だけで介護するのはとても無理だと思います。
そんなとき、老犬ホームみたいな施設があるのは、かなり心強いです。できれば、そのような施設が近くにあれば、理想的です。
ペットを飼うときは、「将来、愛犬が高齢になって寝たきりになってしまうかも?」などとは、あまり考えないものです。
実際、私が「もなか」を飼うとき、「もなか」の老後のことなど、あまり考えていませんでした。なんとなく、「最後までキチンと面倒は見てあげよう」、ぐらいな気持ちです。
ただ、今回、老犬ホームのことを調べていて、たくさんの犬たちが寝たきりになったり、ボケたりして、ホームのお世話になっている記事をみていると、「もう少し真剣に考えないといけないな」という思いになりました。
「もなか」も、もう4歳、すぐに5歳になります。人間だと34歳の中年というところでしょうか。ペットの寿命は我々人間に比べれれば、短いものです。そろそろ、老後についても真剣に考え始めないといけないのかもしれません。