犬の血統書なんて本当に必要?どこまで信用できるものなのか

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血統書

うちの「もなか」はペットショップで購入したのですが、そのとき、血統書が付いていました。

「もなか」の場合、特にチャンピオン犬の家系でもなんでもないので、生年月日と柴犬、メス、黒色ぐらいがわかるだけの証明書です。家系も書いてあるのですが、犬舎とよくわからない名前が書いてあるだけです。ちなみに「もなか」の名前は、血統書では「南高女号」として登録されていました。

犬の血統書とは誰が発行しているのか、何の意味があるのか、どこまで信用できるのか、などなど疑問がいっぱいです。

そもそも、犬の血統書とは何なのか

犬の血統証明書(血統書)とは、その犬が純粋犬種であることを証明するものです。そのため、予め血統を登録された父犬と母犬の子でなくては、血統書は発行できません。人間でいえば、戸籍や家系図にあたるものになります。

日本で一番多くの血統書を発行している、ジャパンケネルクラブのウェブページによると、以下のように記載されています。

血統証明書とは、一般社団法人ジャパンケネルクラブ(JKC)に血統登録された同一犬種の父母によって生まれた子犬に対して発行されるもので、人間に例えると「戸籍」のようなものにあたります。純粋犬種は、この血統証明書によって、本犬、両親から祖先まですべて同一の犬種であるということが証明されなければなりません。

犬種には、それぞれ理想の姿を定めた「犬種標準(スタンダード)」があり、固定された形態や特徴は、はっきり判別できるものでなくてはなりません。これらの形態や特徴はすべて両親から受け継いだものであり、またその両親も、それぞれの両親から受け継いできたものなのです。

純粋犬種の繁殖をする際は、優れた犬質の維持向上のため、生れた子犬が犬種標準により近くなることを目標にして繁殖計画を立てることが大切です。良い資質だけでなく、好ましくない資質についても、どの祖先より受け継がれているかを研究するため、両親犬だけでなく祖先犬にまで遡り、過去にどのような犬が繁殖に使われていたのかを知る必要があります。ここで重要な役割を果たすのが血統証明書です。血統証明書は、数代前の祖先まで遡って記載されており、交配相手を決める上で必要な資料となります。

《参考記事》 血統証明書とは

簡単に言うと、犬は犬種によって理想的な形が事細かに定められています。その理想形を維持するために純粋犬種の血統を管理することが大切になります。そのために犬ごとの血統を証明するためのものが血統書になります。

血統書を発行しているのは誰?

日本で犬の血統書を発行している団体はいっぱいあります。代表的なものだと、ジャパンケンネルクラブ(JKC)、日本警察犬協会(PD)、日本社会福祉愛犬協会(KCJ)などがあります。

「もなか」の血統書は日本犬保存会でした。これ以外にもたくさんの団体が個別に血統書を発行しているのですが、正直、どれだけ信頼がおける団体なのかもよくわかりません。(私が知らないだけです)

これらの中では、ジャパンケンネルクラブ(JKC)が一番メジャーな団体であり、「国際畜犬連盟(FCI)」という国際団体に正式加盟もしているため、ここの血統書が一番威張りが効くようです。JKCの2014年の犬の登録件数は、306,438 頭だそうです。

ちなみに発行団体ごとで血統書を発行する基準が違ったり、そのための料金が違ったりします。ただ、ほとんどの団体ではブリーダーの自己申告だけで血統登録ができるため、もし悪いことをしようと思えば、簡単にチャンピオン犬の血統として登録ができてしまいます。実際、チャンピオン犬の子どもであれば、高く売れるため、詐欺まがいの血統書偽造も横行しているようです。

犬種ごとのスタンダードは誰が決めている?

ブルドック各団体が各品種はこうあるべきだと、定めているものがスタンダードと言われる基準です。基本的には、このスタンダードに沿っていないと純血種として血統書が発行されないのです。

犬種ごとにシッポはこうだ、耳はこんな感じというように、その犬種の理想的な形を細かく規定しており、ショーではそれに一番近い犬をチャンピオンとしてもてはやしているようです。

 

ただ、このスタンダードですが、犬の健康や生物学的な体型などはまったく考慮しておらず、この犬種はこうあるべきだと人間が勝手に決めたものを基準としています。このため、このスタンダードに従って繁殖された現在の犬種の中には、健康上の問題点も多い犬種もあります。特にブルドッグなどの短頭種では遺伝的な病気が多いのですが、これもこのスタンダードに従って長年繁殖されてきた結果です。

本来、そのような不自然な基準を定めること自体が問題だと思いますが、近年ではこのスタンダードという考え方は様々な方面から批判を浴びています。

まとめ

ペットショップで子犬を購入するとき、なぜ血統書が付いているのでしょうか。

理由は簡単です。「血統書付き」だと、高く売れるからです。「血統書付き」と聞くと、その子犬が何か特別な血統のように思え、希少価値があるような錯覚を持ちます。これが高く売れる理由のひとつだと思います。

購入する側からすれば、血統書でその子犬の家系が把握でき、純血種であることの証明となるため、確かに安心して購入できます。

ただ、元々の血統書の目的は、その品種の「スタンダード」を守るために、ショーへの出場資格を証明するためのものです。別にその犬が健康で、性格が良い犬かどうかは、まったく関係ありません。

そもそも、愛玩犬としてペット購入を考えている人にとって、血統書は純血であることの証明以外にほとんど意味がありません。ほとんどの人は名義書き換えもせず、血統書を記念品として保存しているだけだと思います。

ペットを購入する際に、「血統書付き」というブランドが本当に必要か、改めて考えてみてもよいかもしれません。(その前に、昨今の殺処分問題を考えると、ペットショップで購入自体を考え直す時期に来ています。)