日本では少し前の空前のペットブームで犬、猫を飼っている家庭がかなり多くなりました。
ただ、ペットフード協会の2014年の調査結果(平成26年 全国犬猫飼育実態調査)では、ここ数年で飼いネコの数は微増、飼い犬の場合は2012年頃から減少傾向で、2011年に比べて2014年では、59万頭も減少しています。
この結果からも一時期の熱狂的なペットブームも沈静化してきているようです。減少している理由は色々あるみたいですが、若い人では「集合住宅で禁止されている」、「お金がかかる」が理由として上げられており、年配の方では「別れが辛い」、「死ぬとかわいそう」だそうです。
また、今後、犬を飼ってみたいと思っている人の割合も年々減ってきておりますが、2014年で24.9%もあるので、まだまだ潜在的なペット需要はあるようです。
飼い犬が減少している一方で、犬を飼っている人に対して「生活に喜びを与えるもの」はとの質問では、「家族」、「健康」に続いて「ペット」が第3位となってます。このようにペットは生活に喜びを与えるものではありますが、具体的にペットを飼うことでどのようなメリットがあるのか、まとめてみました。
ペットを飼うことのメリット
犬に限らず、ペットを飼うことは色々な点でメリットがいっぱいあります。具体的な項目について一つ一つ見ていきます。
1.子どもの成長期に与える影響
昔からペットは子どもの情操教育には最適だと言われています。
子どもの成長期にペットを飼うことで、ペットを通して子どもが色々なことを学ぶ機会が増えると共に、ペットと接することで心豊かな子どもに育つ手助けとなります。
- ペットの面倒を子どもにしてもらうことで責任感が生まれます
昔は兄弟が多かったこともあり、自然と上の子が下の子の面倒を見てあげることで、子どもが成長する機会が多くありました。ただ、最近では一人っ子の家庭も多いため、他人との関わり方を学習できていない子が多く、他人の感情や痛みを想像できない子どもがたくさんいるように思います。ペットの世話を通して、色々なことを経験でき、学習することができます。- ペットをしつけることでルールを守ることの大切さがわかります
犬のしつけとは、犬が人と生活をする上でのルールを守らせることですが、子どもに犬のしつけを手伝ってもらうことで、社会生活でルールを守ることの大切さを学習させることができます。- ペットは人の精神状態を安定させます
犬と生活することで人は自然と幸せな気持ちになり、精神状態が安定します。最近、すぐに切れる大人が多いのは精神的に未成熟な人が多く、精神が不安定なことが原因です。子どもが精神的に安定することで、色々なことにチャレンジする気持ちが芽生えてきます。- ペットと共に生活することで心が豊かになります
犬は感情表現がとても豊かです。うれしいときにはシッポがちぎれるぐらいブンブン振ってくれますし、落ち込んでいるときには心配して様子を見に来てくれたり、怒った時にはワンワンとうるさく吠えることもあります。犬と一緒に生活することで、うれしい時にはうれしい、悲しい時には悲しいと素直に言える子どもに育ち、最近問題となっている自閉症やADHD(注意欠如・多動性)の軽減にもつながります。
このように幼少期にペットと共に過ごした経験はその子にとって、大人になってからもきっと役に立ちます。
2.子どものアレルギー体質の予防になる
犬、猫に対してアレルギー体質の方も多いことから、一般的にはペットはアレルギーによくないと思われがちです。
ただ、いくつかの研究では、幼少期からペットと共に生活すること、アレルギーに対する耐性ができ、体の免疫力も高まるとの調査結果があります。また、アメリカの調査では、ペットのいる家庭の子どもは、そうでない子どもに比べて学校の出席率が高いとの結果もありました。ペットを飼っている子どもの方が健康的になるのかもしれません。
もちろん、既に犬、猫に対してアレルギーがある人がペットを飼うのはお勧めしません。
3.家庭円満
この前、テレビのバラエティ番組でやっていたのですが、夫婦げんかすると仲裁してくれるという柴犬がいました。その番組ではわざと夫婦で口論して、怒った奥さんが部屋に閉じこもって泣いていたのですが、けんか中はオロオロとしていたその柴犬が最後には奥さんの部屋をノックして慰めに行っていました。
そこまで賢いワンちゃんはあまりいないかもしれませんが、犬は主人の気持ちをよく理解しており、ご主人さまが落ち込んでいる時には気を使って、寄り添ってくれたりするものです。
また、先ほどの「ペットフード協会の2014年の調査結果」では、ペット飼育の効用ということで、「夫婦の会話が多くなった」、「夫婦の関係がなごやかになった」、「夫婦で過ごす時間が多くなった」との調査結果がありました。
ペットを飼うことで夫婦共通の話題ができたり、犬を飼うことで精神的にも安定することから家庭円満の元となります。
4.ストレス解消、血圧を下げる
色々なところで実験されているのですが、高血圧の人がペットを飼うことで血圧が下がることが報告されています。犬を飼うことで精神的に安定することもあるかと思うのですが、犬と触れ合うことでストレスが軽減されることが大きいようです。
実験では、犬にマッサージしてあげたり、犬を抱きしめることで、ストレスを軽減するホルモン物質が体内に放出され、その効果で血圧や心拍数が低下したとのことです。
「ホンマでっか!?TV」で有名な「おおたわ 史絵」さんもこんな本を書いておられました。
犬のマッサージによる効用については、下記の記事でも紹介していますので、よかったら読んでみてください。
《参考記事》 犬マッサージは愛犬の体調管理と信頼関係構築に最適な方法
5.運動することで健康になる
普段運動はしないという人でも、犬を飼うと散歩には連れて行ってあげなくてはいけません。運動ぎらいな人でも愛犬のために必ず毎日散歩に行くという人も多いかと思います。
犬を飼っている人ならわかると思うのですが、ちょっとした散歩でも犬と一緒に散歩するのは意外と楽しいものです。犬と散歩していると、声をかけやすいのか、知らない人があいさつしてくれたり、ご近所の犬と友達同士になったり、道端の草花が咲いているのを見て四季を感じたりと、色々楽しいことがあります。同じ散歩でも、一人で歩いているときとは、また違った体験が色々できます。
また、このちょっとした散歩が気分転換となり、日常のストレス解消にもつながります。
犬との散歩は、運動することで健康的になるのはもちろんのこと、あなたの心も元気にしてくれます。
まとめ
このようにペットを飼うことで様々なメリットが期待でき、日常生活が豊かに、より楽しくなります。特に小さなお子さんがいる家庭ではお勧めです。
ただ、ペットブームの陰で保健所で殺処分されている犬、猫がたくさんいるのも現実です。もし、ペットを飼われる場合には、家族の一員として最後まで面倒を見てやる覚悟をもって、飼ってあげてください。