先日、たまたまネット検索していて、ペット保険の免責事項で揉めているブログを見つけました。
ブログタイトルが「ペット保険の闇」とかなり過激なもので、ペット保険会社であるアクサダイレクトと揉めた経緯が書かれていました。
《参考記事》 ペット保険の闇
個人的には、とても興味深かったので、ご紹介したいと思います。
問題のブログ内容を軽くご紹介
このブログですが、かなり長ーーーくて、パート④まであります。しかも、一つ一つのブログがかなりの長文で、読むだけでも大変な超大作です。
それを要約すると、
- ペットの猫がアクサダイレクトに8年間も加入していた。
- 4年前から肝障害が見つかり、深刻な状況ではないが治療が続いている。
- 2年前くらいから多飲多尿の症状があり、腎不全の疑いで事前治療も行っていた。
- 今年のペット保険の更新時、「特定疾病補償外特約」として肝・胆道系疾患は補償対象外とする通知を受け取った。
- 納得いかないので、コールセンターや直接面談を通して、アクサダイレクトに説明を求めた。
- 肝・胆道系疾患は補償対象外とする通知書に対して、具体的にどの病気に対することなのか、詳細な説明がなく、コールセンターに聞いても埒が明かない。
- その後のアクサとのやり取りを克明に記載。
という感じです。
ブログ主さんの言い分では、アクサダイレクトのWebでのふれ込みでは、終身継続、長期補償を売りにしていたのにも関わらず、ちょっと保険金請求が多くなると、その疾病に対して補償対象外とするのは、納得いかないという論旨です。
この飼い主さんの言い分も分からなくないですが、客観的にみると、どう見てもゴネているようにしか見えません。ただ、SNSやコメントでも応援する方も多く、賛否両論でかなり盛り上がっていたようです。
このSNSでの盛り上がりをアクサダイレクトの方でも分かっており、企業イメージを壊さないよう、今回の対応にかなり慎重になっている様が良くわかるブログでした。
ペット保険は基本的に免責事項がいっぱい
私のブログでも何度も言っているのですが、ペット保険というものは、免責事項(補償対象外となるもの)の塊みたいなものです。
ペット保険会社としては、保険加入者の評判を落とさずに、いかに保険金の支払いを抑えて利益を上げるか、それがとても重要な課題なのです。
そのために、あの手、この手の免責事項を作っては、保険金を支払わないように最善の注意を払っているのです。
当然、約款についても、すべてペット保険会社の都合の良いように書かれています。当然です、約款を作るのは保険会社様だからです。自分の不利になるような契約内容にするわけがありません。
ただ、少し前にはそれをやり過ぎて、保険業界全体として金融庁から指導を受け、もっときちんと保険金を支払いなさいと怒られていました。。。
特に、ペット保険はすべて単年での契約であるため、契約更新時にはいくらでも免責事項を追加できるようになっているのです。
あのペット保険業界トップのアニコムでさえ、つい最近、ペット保険の補償内容を突然変更して、炎上する騒ぎがありました。それも経営状況がものすごく悪化したから、というわけでもありません。
アニコムの場合、それまで年間での利用回数が無制限だったものを、ある時から年間20回に制限しました。
保険会社というものは、経営を維持するために、たとえ終身保険であっても、その保険の補償範囲を簡単に変更するものなのです。
この件でアニコムもかなり叩かれたのですが、そのおかげもあって、最近の業績はかなり好調に推移しています。
ただ、それでもアニコムは他のペット保険に比べて、かなり良心的な方だと思っています。保険の適用範囲もかなり広く、個人的には一番安心感があると考えています。
安いペット保険には特にご注意
特に安いペット保険に多いのですが、ペット保険で保険金を請求しすぎると、免責事項として特定の疾病を補償対象外にされたり、さらにひどい場合には契約の継続自体を断れることもよくあることです。
普通に考えてみれば分かることです。
保険料が他よりも安く、補償範囲も広く、バンバン保険金も支払ってくれる保険会社など、ある訳がありません。そんな会社はすぐに潰れてしまいます。
保険料が安いということは、企業として利益を上げるために、できる限りの免責事項を利用して保険料を払わなくしようとします。ただし、やり過ぎると評判が悪くなり、そもそも加入してくれる人がいなくなります。
なので、どれだけ評判を落とさずに、保険金支払いを抑えるのか、そのバランスが腕の見せ所となるのです。営利を求める企業であれば当然のことです。
ペット保険は1年ごとの更新
今回のアクサダイレクトの場合もそうですが、重要事項説明書には「保険契約は1年契約であり、補償内容が変更される場合がある。」と、記載しているところがほとんどです。
このブログ主さんも重要事項は当然確認しており、その中には、以下のようにしっかりと、「継続をお断りする場合がございます」と書かれていたらしいです。
ただ、下記の意味することが具体的に分からなかったので、分かるようにしっかりと説明する努力を怠ったアクサが悪いと言っているのです。
審査の結果、継続契約より特定の傷病を補償対象外とする条件付でのご契約になる場合や保険契約のご継続をお断りする場合がございます
普通に読めば、契約更新時、保険の利用状況によってはいつでも契約解除しますよ、と言っているとしか読めません。
厳しい言い方をすれば、契約するときにきちんと契約書を読んで、理解しなかった(できなかった)方が悪いのです。
会社で契約書関係を扱ったことがある人であれば、契約とはそういうものであることが分かるはずです。契約書を読んで、そこに書いてあることが理解できないのであれば、当然、契約すべきではありません。
とかく、日本人は契約書を軽視しすぎる傾向があります。
書いてあることが分からずに、あるいは、契約書の内容も確認もせずに、とりあえずサインしたが、理解できていなかったからこの契約は無効だと言っているのです。
現代の法社会において、そんな理屈が通じる方がおかしいです。
特にアクサダイレクトは海外資本の会社です。当然、日本などに比べて、契約にはとてもシビアです。そんな不利な条件で契約してしまった人が悪いのです。
《参考記事》 アクサダイレクトのペット保険は外資系特有の割り切りも必要
このブログ主さんの主張にもあるのですが、たとえ、8年間、保険料を支払おうがそんなことは全く関係ありません。
なぜなら、ペット保険は1年ごとに契約をし直す保険だからです。それの意味することは、ペット保険とは、単に一年間だけの保険契約であり、翌年も同じ条件で契約するとは誰も言っていないです。
それどころか、逆に、はっきりと約款(重要事項説明書)には、契約更新時に契約更新するかどうかを審査すると、書かれているのです。
まとめ
このブログの飼い主さんも、最後の方ではアクサと和解?した雰囲気でしたが、納得はされていないような感じでした。
私自身、ペット保険については、かなり調査していることもあり、各社の約款もじっくり読んだこともありますが、どのペット保険会社のものも、自社の都合の良いようにいろんな免責事項を書き込んでいます。
確かに一般の人がペット保険を契約するときに、それを全部読んで理解してから契約するなんてことはしないでしょう。
また、例えそれを理解したからといって、免責事項の適用範囲や運用については、保険会社によってかなり温度差があります。実際、免責事項のグレーゾーンはいっぱいあり、保険会社によっては、同じ疾病でも補償対象になったり、ならなかったりします。
この微妙な点については、いくら約款を読んでも判断できないため、最後は口コミや評判から判断するしかありません。
もし、そんな手間をかけたくないのであれば、素直に大手のアニコムと契約することをお勧めします。私が調べた中では、やはり一番安心感があり、とても使いやすいペット保険だと思います。(ただ、最近、補償内容を変更したりしましたが。。。)
ただし、その分、他のペット保険に比べて少し割高なのは仕方がありません。それは、皆さんにその分を保険金として還元しているからでもあります。
《参考記事》 アニコムはペット保険の老舗で安心感が魅力、保険料は少し割高
また、比較的安いペット保険を、というのであれば、私はPS保険をおススメします。なぜなら、PS保険の場合には初めから、治らない疾病については、生涯で20回までしか保険金が出ないからです。今回のアクサのように契約切り替えのときに、勝手に特約を付けられたりすることはまずないでしょう。
とても、割り切った考え方で、他のペット保険とはかなり違います。
PS保険の場合、必然的に慢性疾患に対しては補償が効かなくなるため、少し不安はあります。ただ、他のペット保険にしても保険を使いすぎれば、契約を更新してくれないこともあるのです。
それなら、最初からはっきりと公明正大なPS保険の方がマシではないでしょうか。
《参考記事》 PS保険は保険料の安さと補償バランスで人気-落とし穴に注意?