今回は、猫がペット保険に加入するとき、どんなことに注意してペット保険を選んだらよいのか、について考えてみました。
うちで飼っている「もなか」が犬ということもあって、普段、ペット保険を検討するときには、どうしても犬のペット保険について考えてしまっています。
ペット保険の基本的な補償内容や保険ごとの違いや傾向については、犬でも猫でも、ほとんど違いはないです。ただ、犬と猫ではかかりやすい病気も違えば、そもそも実際にかかる医療費にも違いが見られます。
それは、犬に比べて猫の方が病気になり難く、年間の医療費もかなり少なくて済むからです。
それもあり、犬に比べると、猫でのペット保険への加入率はまだまだ少なく、その差は実に7倍以上もあるという驚きのデータがあります。
《参考記事》 猫のペット保険契約数が犬より圧倒的に少ない理由とは?
かといって、猫が病気にならないことはなく、当然、猫も高齢になってくると色々な病気にもかかり罹り易くなります。
特に猫の場合で特徴的なのは、泌尿器疾患がとても多いという点です。
中でも慢性の腎臓病に罹る猫がとても多く、一旦患うと完治することはなく、長い闘病生活で高額な治療費がかかる場合が多いようです。
猫がかかりやすい病気とは
ペット保険大手であるアニコムさんでは、ペット保険契約者の保険金請求情報から毎年色々な統計データを公開してくれています。
猫は「おしっこ」関連の病気に要注意
それによると、猫の病気について、以下のような特徴があるそうです。
- 動物病院を来院する動物のうち、猫の割合はたった21.8%しかありません。これは犬の73.1%に比べると圧倒的に少ないです。
- 猫の泌尿器疾患のうち、腎臓病の罹患率は6歳以降で急上昇します。
- 0歳から10歳の猫の死亡原因のトップは、泌尿器疾患(22.9%)、ついで消火器疾患(15.9%)、3位に感染症(10.6%)となっています。ただし、0歳では感染症での死亡が40.9%と圧倒的に多いです。
《引用》 アニコム損保-意外と知らない猫統計
また、同じアニコムさんの家庭動物白書2013では、猫の診療費用について疾患別割合が載っていました。
それによると、
1位:泌尿器疾患(27%)、2位:消化器疾患(10.9%)、3位:皮膚疾患(6.2%)
と、圧倒的に泌尿器疾患で病院に掛かっているケースが多いのです。
《参考》 診療費用における疾患構成割合
これらの統計情報から、猫がかかりやすい病気は泌尿器疾患、ついで消火器疾患であることがよくわかります。
実は、猫に泌尿器疾患が多い理由は、はっきりと分かっていないそうです。
一説には、その尿の濃さに原因があるとも言われています。
猫の祖先とされているリビアヤマネコは、元々中近東の砂漠地帯で暮らしていたため、少ない飲み水でも生きていけるように、濃い尿を作って、少ない水分で体内の毒素を排出できるように進化しました。
このため、猫もとても濃い尿になるらしく、これにより腎臓を酷使して、年を取ると腎臓障害を引き起こしやすいと言われています。
また、この濃縮された尿は、その成分であるアンモニウム、マグネシウム、カルシウムなどが尿道で結晶化しやすく、結石を作り易いのです。そのため、猫の場合、尿路疾患などを発症しやすいのです。
もうひとつの説として、猫は完全に肉食であるため、タンパク質の摂取がとても多く、その分、尿素もたくさん作られます。そのため、腎臓が酷使されるという説もあります。
特に泌尿器疾患のうち、慢性の腎臓病については、老猫がかかりやすい病気であり、一度慢性腎臓病になると完治はしないため、治療期間もかなり長くなってしまいます。(死ぬまで治療が続きます。)
また、その治療費についても、とても高額で、月に数万円から十数万もかかる場合があるそうです。
そのため、長期間におよぶ闘病生活で、トータルでは100万円以上もの治療費がかかったという話も珍しくはありません。
高齢猫では「がん」にも要注意
また、泌尿器疾患、消化器疾患の他にも、年を取った場合には、猫でも人間や犬と同様に「がん」に罹るケースがかなり増えています。
特に最近では、犬、猫の「がん」治療についても、人間と同じような高度治療を行うことができる病院が増えてきており、治療方法について、色々な選択肢ができるようになってきました。ただ、全額自己負担のペットの場合、とんでもない金額の治療費となるケースも多くなってきています。
猫に最適なペット保険とは
猫の場合、犬に比べると比較的病気になり難く、病院のお世話になることも少ないようです。
このため、ペット保険に入っていても、ほとんど使わないというケースも多いのではないでしょうか。
ただし、高齢になってきた場合には、「がん」や慢性の腎臓病などに罹りやすくなるため、それに備えたペット保険に加入したいものです。
このことから、どちらかというと、普段の小さな病気に備えるというよりは、大病に備えたペット保険の方が良さそうです。
ただ、慢性の腎臓病にも罹りやすい猫の場合、ペット保険選びはとても難しいです。
なぜなら、慢性的な病気の場合、保険金支払いがとても多くなる傾向があり、ペット保険会社としては極力支払を抑えたいと考えているからです。そのため、どこのペット保険会社でも、色々な免責事項を設けているのです。
以下の点に注意して、ペット保険を検討してみて下さい。
- ペット保険によっては、年間の通院回数に制限を設けている。
- ペット保険によっては、1つの疾病での支払い上限が設けられている。
- ペット保険によっては、1つの疾病でたくさんの保険金を請求すると、次年度からその疾病については補償対象外とされるケースも多くある。(特に安い保険の場合には要注意)
年間でのペット保険の利用回数制限、上限金額について
慢性病を考慮する場合、年間での利用回数が制限されているペット保険はあまりオススメできません。
なぜなら、慢性病を患っていると、必ず定期的に通院する必要があるためです。
このため、利用上限回数が少ないペット保険の場合には、あっという間に上限に達してしまい、それ以後はすべて自腹ということになります。
例えば、慢性の腎臓病では定期的な血液検査(月に1、2回)の他にも、脱水に備えて通院での輸液を行ったりします。年間20回程度の利用回数ではとても足りないはずです。
そのため、慢性疾患に備えるには、年間での利用回数制限がないペット保険の方がオススメです。
ペット保険会社 | 通院上限回数(年間) |
アニコム | 20回 |
PS保険 | 20回 |
アイペット | 22回 |
FPC保険 | 30回 |
日本アニマル倶楽部 | 60回 |
ペッツベスト | 制限なし |
ガーデン | 制限なし |
アクサダイレクト | 制限なし |
au損保 | 制限なし |
ただし、利用回数に制限がないといっても、年間での保険金上限額が設定されており、au損保では20万円、もしくは28万円(通院の場合)、ガーデン、アクサダイレクト、ペッツベストは50万円です。※ペッツベストはプランによる。
もうひとつ、ペッツベストでは注意点があり、1回の疾病について支払い上限金額(25万円、もしくは50万円)が設定されています。そのため、慢性疾患の場合には、生涯で最大でも25万円しか保険金がもらえないです。
ペット保険の更新時の免責事項追加にはご注意
ペット保険の補償内容だけを比べていると、アニコムなどの大手より補償内容もよくて、保険料も安いペット保険がたくさんあります。
一見すると、安くて、補償内容もよいなら、いいんじゃない?と安易に考えてしまいがちですが、保険には免責事項という落とし穴がいっぱいあるので、要注意です。
そもそも、ペット保険はどの保険でも1年ごとの契約となっています。なので、毎年、契約の更新が必要となります。
通常であれば、何もせずとも自動的に契約が更新されるのですが、前年度に保険金をたくさん請求していると、次年度の更新を断られたり、保険金をたくさん請求した疾病を、補償対象外とする免責事項を追加される場合があります。
特に、慢性病を患った場合など、どうしても保険金請求は高額になります。その年は、ペット保険に入っていてよかったと思っていても、翌年にその疾病を補償対象外にされると、何のためにペット保険に入っていたのかわからなくなってしまいます。
安いペット保険の場合には、この傾向が強いため、ペット保険を選ぶときには、口コミなどの評判にも注意が必要です。
《参考記事》 ペット保険の闇というブログ記事に、そんなのは当たり前!
その点、アニコムやアイペットなどの大手さんでは、このような悪い評判はあまり聞いたことがないので、心配な方には、ペット保険業界最大手のアニコムがおすすめです。
アニコムはペット保険の老舗で最大手ということもあり、とても評判がよく、免責事項という点においては、他のペット保険に比べてとても安心できるペット保険です。(ただし、その分、保険料が割高にはなります。)
猫におすすめのペット保険をピックアップ
私が考える、猫にオススメのペット保険は、以下の3つです。
《おすすめ》ペッツベストのペット保険は補償は厚いが免責事項にはご注意!
1回あたりの傷病について支払い上限金額が設定されているため、慢性病については少々不安がありますが、保険料が安く、高額な医療費に備えるペット保険として、もっともオススメです。ただし、保険料が安い分、1回あたり疾病に対して、免責金額(2万円もしくは7千500円)が設定されています。
《おすすめ》 ガーデン「いぬとねこの保険」は、安さと補償内容の充実が魅力
ペッツベストと同じく、年間の利用回数制限がない点が高評価です。ただし、あまりメジャーなペット保険会社ではないため、口コミが少ない点において少し不安が残ります。
《おすすめ》 アニコムはペット保険の老舗で安心感が魅力、保険料は少し割高
何といっても、業界No.1の安心力が魅力です。慢性的な病気については、すべてをカバーできるわけではないですが、何年も続くような病気であっても、サポートしてくれる安心力はとても魅力です。
まとめ
今回、猫に最適なペット保険というテーマで記事を書いてみました。
あまり詳しく知らなかったのですが、犬と猫では、病気になりやすさも違えば、なりやすい疾病の傾向まで違うとはびっくりです。
猫の場合、統計的に病気になり難いという特徴があるのですが、年を取ったときに慢性の腎臓病にとてもなり易いようです。このため、ペット保険としては、普段の小さな病気よりは、慢性病などの大病に備えるタイプの方があっていると思います。(犬の場合でも慢性病に備える必要はあるのですが。。。)
これは、何も猫だけに限ったことではなく、保険は万が一のときのために備えるものと考えておいた方がよいです。